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書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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【掌編】つり革を。
車中の違和感の正体が、
誰一人つり革を持っていないことだと気がついて、
不思議に思って目の前の輪っかをつかもうとしたのだが、
柔らかく生暖かいものがぐにゃりと指先に触れ、
どうやら見えない何かがつり革に居座ってるらしいことは理解した。
このまま降車駅まで、余計なものには触るまい。
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【昼語り4/21】季節はずれ
緑鮮やかな春の日、
天の端っこでのんびり過ごすのは冬の精。

自分の季節じゃない時は
隅っこで慎ましく暮らしている。

庭に花壇をこしらえてみた。
白い菊花が見事に咲いた。

その時、天に突風が。
白い花びらをあっという間に散らしてしまい、
下界では季節外れの雪が降ったという。

※昼休みに思いつくままツイートした140字以内の極小話。不定期更新。

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

【昼語り4/20】蛇女その後
メドゥーサの蛇使いの荒さに辟易した頭の蛇たちは、
ある日脱走を試みた。

これが首尾よく進んで、
ある朝メドゥーサは丸坊主。

頭のあちこちに空いた蛇の抜け穴がスースー涼しく、
試しに花を挿すと何となくしっくり。

今では頭の生け花で、魔界ファッション誌の表紙を飾るほどだとか。

※昼休みに思いつくままツイートした140字以内の極小話。不定期更新。

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Twi-Story45「快速電車」
昼間の快速がやたらと空いていて、なぜかこの車両には私一人という状態だ。何だか落ち着かないな、とふと隣の車両の方を見て息の飲んだ。一人の男が歩いてくる。いや、男なのは首から下だけだ。あの、顔は…そう、ペリカンだ。ペリカンに違いない。

しかしスーツ姿なのだ。手足はちゃんとヒトなのだ。一体何者なのだ。そいつはつり革を片っ端から握っていく。白いドーナツみたいなつり革が不規則にゆらゆら揺れる。しばらくして車両の真ん中あたりに来た時、おもむろに立ち止まった。

そして大きく頷くと、ポケットから鈍く光るハサミを取り出し、じゃきん、とつり革の革部分を切ってしまった。はぁ!?と声に出さずに私は叫ぶ。視線にようやく気づいたのか、ペリカン男はこちらをぎょろりと見て、そしてうっすらと笑みを浮かべた。

「いやぁ、爆弾をね、仕掛けたって脅迫状が届きましてねぇ〜。あぶないあぶない。あ、もう大丈夫っす」語尾がやたら軽薄で、信用ならない。そいつは大口を開けると、丸くて白いやつを、放り込んだ。口を、いやくちばしか、くちばしを閉じた瞬間、ぼすん!と破裂音がした。

くちばしの隙間から細い煙がたちのぼる。私はもうその時、座ったままで腰が抜けていたのだった。ペリカン男はじゃあ、とでもいう感じで手をあげるとそのまま次の車両へ移っていった。快速電車は間もなく次の駅に着こうとしていた。(完)

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Twitterでつぶやいた小さなお話。

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Twi-Story44「職務質問」
「ちょっと鞄を見せてもらえますかね」

警官の制服を着た男が行く先を阻んで言う。

やましいことは無いから
逆らわずにおくかと開けて見せると、
にゅうっと男は鞄に吸い込まれ、
持ち手をつかんだ右手から俺の体を乗っ取りやがった。

まさかこんな風に宇宙人の侵略が進んでいるとはね。

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Twi-Story43「布団」
旅館の部屋にて、男三人旅。

「おい、知ってるか? あの一枚だけあるヘンな染みのついた布団で寝たら願いが叶うらしいぞ」
「じゃあ、俺そこな」
「しまった言うんじゃなかった」
「ちょっと待て、俺も入れろ」
「じゃあもう三人でいいか」
「むさ苦しいな」
「しょーがねーだろ」
「暑いな」
「暑いよ…」

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Twi-Story42「ゆきいぬ」
むかし、むかし。
小さな山あいの村に、ゆきという名の女の子が両親とともに暮らしておりました。
ある日の夜、とてもとても強い風が吹いて、次の日の朝には村には珍しく雪がつもりました。
家の屋根も、道も、田んぼも畑も真っ白になっておりました。


ゆきは、生まれてはじめて見る雪に、寒さも忘れて夢中になって遊びました。
ところが、その日の夜に高い熱を出して寝込んでしまいました。
雪で体が冷えてしまったのでしょう。
夜中に熱にうなされるゆきは、小さな白い犬と遊んでいる夢を見ました。


次の朝、ゆきの熱はすっかりさがっていました。
外に出て見ると、ゆきが昨日つくった雪の犬が、すっかりとけておりました。



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Twi-Story41「恩返し」
季節外れの蚊がいたので潰してやろうとしたら「殺さないで」と懇願された。
お腹に卵を抱えているらしい。
何か恩返しでもしてくれるのかと尋ねたら一刺しして去っていった。
なんてことだ、と憤慨していたら翌年からは蚊に全く刺されない。
あいつの一刺しで体質が変わったらしい。


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Twi-Story40「赤い毛糸」
旅の途中で石の祠を発見した。
石の継ぎ目から赤い毛糸がひょろりと生えている。
引っぱると延々と糸が出てくる。私は夢中になって引っぱり続けた。
暗くなる頃にようやく終わった。
振り向くと糸は赤いマフラーに姿を変えている。
それを祠のお地蔵さんに巻いて、一礼して私は去った。


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Twi-Story39「どんぐり」
どんぐりの季節になると私は森に入る。
シイの木に魅入られた妻が木となり森にいるのだ。
もう3年が経ち木は彼女の原型をほとんどとどめていない。
しかし妻はそこにいる。
根元に散らばるどんぐりを拾い集め箱に入れて優しく振ると、木の実は懐かしい妻の声で私に話しかけてくれる。


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