FC2ブログ
書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
摩耶山の地図をお題に即興創作
摩耶山地図_即興物語

※画像をクリックすると拡大




  「丁 度」


丁字ヶ辻に着いた時
腕の時計をみてみたら
丁度十二時をさしていた。

それから先ずっと
いつ時計をみてみても
必ず正時をさしていて
中途な時間をみたことない。

★丁字ヶ辻の「丁」の字より

===============


  「稲 穂」


ある日、とつぜん、湖に稲穂が生えた。
穂高湖のことである。

稲には虫がつくこともなく、たわわにみのり
収穫されたものは、幻の穂高米として、
ひっそり出まわったそうだ。

★穂高湖の「穂」の字より

===============


  「掬星台」


星が掬えると名がついているので
さてやってみるかと夜空に手をさしのべると
小さな星がころりと落ちてきた。

手の中にやさしい光。

こりゃいいなとそのまま持ち帰ろうとしたら
小さな光がふるふるとふるえた。
少しかわいそうになり
やはり空へ返したのだった。

★「掬星台」より

==========


創作日は、2011年11月3日、
摩耶山リュックサックギャラリーにて。

摩耶山の地図を題材に即興創作。
トレペに地図を写してから、
場所名の漢字を使って
思いつくままに
小さな小さなお話を3つ作りました。
スポンサーサイト

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

Story in a Bottle
Story in a Bottle


 「Story in a Bottle」

  
     小さなボトルの中に
     とじこめられた、
       小物と
     それにまつわる
     小さなお話を7つ。



Story#1「ボルト」

俺のポケットにはボルトがひとつ入っている。
若い頃、小さな会社をおこした。
収益がほとんど出なくても、
ただただ仕事が面白くて、
無我夢中で過ごしていた。
しかし経営の才覚は無かったらしい。
最後の日、
がらんとした事務所に転がっていたスチール棚のボルトを、
俺はいまでもずっと持っているのだ。




Story#2「黄色い色鉛筆」

「これ」とリサが差しだしたのはちびた黄色い色鉛筆。
「いまさらだけど、犯人は私」
小学一年の図工の時間、
きりんを描こうとした私の色鉛筆の中から
こつ然と黄色が消えた。
黄色が無いときりんが描けない。
泣き出した私は先生から黄色を借りたのだった。
「下書きがあんまりうまいから、ちょっとうらやましかったの」



Story#3「花模様のガラスビーズ」

ちょっとした呪文がいるからね、
誰にでもできるってわけじゃない。
ええ、どんな花でもいいですよ。
私はトケイソウなんかが変わってて好きですね。
見たいですか?
じゃあひとつやってみましょう。
あなたのお持ちのその青い花を頂いてもよろしいですか?
さあ、………ほら、圧縮した花もまた面白いでしょう。




Story#4「鈴」

釣り上げた大きな魚が船の天板で体を震わすたびに、
何やら音がする。
不思議に思って口をこじあけて中をのぞくと、
ぺっと何かを吐き出した。
天板に転げてりん、と鳴った。
鈴である。
拭き取るとまだきれいで、最近のものらしい。
この海の底で一体何を食べて鈴が腹に入ったのか。
うすら恐くなって魚も鈴もそのまま海に投げ入れた。




Story#5「鍵」

この鍵は万能だ。
どんな扉も開けてしまう。
いや、扉のない壁に、扉を作ることすら可能なのだ。
鍵をそっと壁に近づける。
そこにすっと鍵穴が現れる。
この鍵にぴったりの鍵穴が。
でもどこでもかしこでも開けるのはおよしなさい。
いつかきっと、見なくてもいいものを見てしまうから。




Story#6「赤いボタン」

引き出しの中に、小さな封筒があって、
赤いボタンはそこに入れてある。
私の服の予備ボタンではない。
大切な人のものだ。
でも私はその人の名前を知らない。
二十歳の頃、
旅先で財布を無くして困っていた私に、
ホテルまでの交通費を貸してくれた青年。
名前も言わずバスに飛び乗った彼が、
落としていった赤いボタン。




Story#7「小石」
何にでも化けられるというから、
「じゃあこんなものにもなれるのか」
とその辺に落ちていた小石を拾って差しだすと、
「たやすいことだ」
とあっという間にそっくりに化けた。
素早くポケットから小瓶を取り出し、
小石を入れてふたをした。
封じ込められた悪魔はふてくされたのか、
石の姿のままもう十八年。


==========
7つ連投でお届けしました(笑)

2011年11月3日の
摩耶山リュックサックギャラリーに
展示した「立ち読みオブジェ」の作品です。

写真にありますように、
小物と一緒になった作品なので、
いつかまた展示する機会があれば、
ぜひボトルの中身の小物とともに、
ご覧になっていただければと思います。

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

瓶詰め物語
瓶詰め物語



  「瓶詰め物語」

  4つの瓶にとじこめられた、
  サイコロと言葉。
  サイコロにまつわる短い短いお話。


サイコロをひろったのがうんのツキで、

ボクはそれからナニをするのも

サイコロをふらなきゃならない。

スゴロクがだいのにがてなボクは、

ずっとアガリにたどりつけないまま、

アシタでちょうどひゃくねんめになる




==========
2011年11月3日の
摩耶山リュックサックギャラリーに
展示した「立ち読みオブジェ」の作品です。


テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。