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書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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摩耶山にて。
第3土曜日の今日4/15は、摩耶山リュックサックマーケットの日。
出店はしないけれど山にあがって、あずまやにひしめく闇リュックの様子を楽しみ(その後、晴れました!)、美味しい珈琲や文旦ビネガーワイン割をいただき、カフェに移動して甘味を補給。

たまにはこういうのもよいかと。
お供に読むのは原田マハさんの「生きるぼくら」。主人公の引きこもり青年が米作りに挑戦し地に足をつけていく様子を読み進めつつ、時折、眼下の景色をぼんやりと眺めております。



来月5月20日のリュックサックマーケットは、即興物語屋を出店予定です!
お気に入りの原稿用紙があと5枚残っているので、5作品限定でオハナシ作ります♪
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干支掌話2015「羊の庭」
年賀2015



       「羊の庭」  作・中川 紺



 隣町の小学校の校庭が芝生になったと聞いたのは先月。
 反対側の隣町が芝生にしたと聞いたのは今月。

 Y町の小学校の校長は最近生やしはじめたばかりのあご髭をさすって右のまゆをぴくんとあげた。

「なんじゃ、みんな、芝生、芝生と。
 ウチはそんな月並みなことはせんぞ。
 もっとこう……あっと驚くやつを……そうじゃ!」

 校長は町で一番大きなホームセンターへ走り、
 両手いっぱいに買い占めてきた「羊の種」をせっせと校庭に蒔きはじめた。

 ほどなく、白い毛がひょろひょろと生え、
 校長秘蔵の「育毛剤」と「養毛剤」の効果もあって半月ほどで校庭の半分はふかふかの羊毛になった。
 転んでも痛くない羊の庭は生徒たちに大人気。冬休みに入っても校庭は毎日賑やかだった。

 やがて春が来ると、校長は言った。

 「さあ!毛刈りの時間じゃ!」

 全校生徒と先生で、せっせと刈った大量の羊毛は、
 冬になる頃にはみんなのセーターになっているに違いない。(完)



- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
いつもならば新年に掲載する干支話、なのですが、
今年は諸事情により年賀状を作らなかったりしたもので(間に合わなかった、とも言う。笑)
春待ちなこんな時期に、こっそり掲載してみますw

干支の中でも好きな動物ベスト5に入るかも、羊。

スローペースを通り越して、ストップペースになりつつあるブログ更新ですが、
じわじわと、書いてまいりますw

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

ドラマ・リーディングの世界へ
音語り座マカロンの公演ももう間もなくです!
さて、メンバーの語り・表ウララさんが出演されるということで、先日こちら↓のイベントを観に行ってまいりました!

プロジェクト・サンクpresents
ドラマ・リーディング with SONGS



ドラマ・リーディング


3人の作家が書いた、3つの作品を、3人の役者が、語り演じます。
朗読+歌の競演ということで、作品の間でソプラノ歌手の方が生で歌ってくださいます。
作品の登場人物の一人はDIVA(歌姫)。
歌と深い関係にあるお話なのです。


会場は天満橋のパスタフルカフェ マリアンさん

なので、公演にはお食事がついています。
私はティータイムの部なので、珈琲とナッツのタルト!
こちは、イタリアンと焼きたてパンのお店なのですよ。
今度ゆっくりランチかディナーをいただきたいなー!

3つの作品は一話完結しているのですが、物語の舞台と人物がつながった連作となっています。
「みどりの館」と呼ばれる邸宅で繰り広げられる、二人の女と一人の男のやりとりと心模様。

ウララさんをはじめとして、みなさんそれぞれの役にしっくり入ってらっしゃいました。
なにげに全員キャラの濃い登場人物w

私の席が、舞台の超ド真ん前でして(笑)、迫力の演技および体に響いてくるソプラノの美声をいっぱい浴びて公演満喫でした〜♪

元は、「すーぱー・ショートストーリー」と名付けられた4枚小説(原稿用紙400字×4枚=1600字)の作品と演出家の永山さんの出会いから始まった企画のようです。


ドラマ・リーディング


帰りにはお土産に脚本(作品)もいただきました。
文字で再読すると、公演の時とは違う風景が見えてきそうです。
少し時間をおいてから読んでみようかな♪


私も…
  音語り座マカロンの公演とか、
  お題をいただいて即興したり、
  書いたお話を朗読していただいたり、
  イラストレーターと共同展をしたり、
  古本屋さんでの展示と朗読と演奏など、

いくつかの形での競演やコラボなどをしてきましたが、物語作家同士で同じ設定を元に連作といったパターンはまだしたことがありません。
自分だけで連作作品を書くのは大好きなのですけどね。

こういった公演などに行かせていただくと、いつも思います。

物語の可能性は

どこまでも続くよーー!と(笑)



日々にごくごくさりげなく物語を忍び込ませたい。
日常のすぐ足元に「非日常」をばらまいてみたい。


また何か面白い展示会などできればな、と思っています。
生暖かく、見守ってください(^^;

さ!
なにはともあれ今週末の甲東ホールでのクリスマス公演にぜひぜひお越し下さいね!
メンバー一同、心よりお待ちしております〜♪


テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

物語メーカー、してみましたw
今日は昨日から順延した摩耶山リュックサックマーケットの日!

即興物語屋・紺は本日はお休みです。
ということで、先月7/20の日曜リュックの時の即興創作パフォーマンスの写真など。

お客様の一言(10文字くらい)に私がちゃかちゃかっと続きのお話をつけて物語のワンシーンを作るという

「物語メーカー」ですw


摩耶山リュックサックマーケット


これがまた、想像以上に面白かったのでございますー。
ということで、9月からのリュックでもまたバージョンアップしてやってみようかしらと目論み中ですw
ゆるーくご期待ください(笑)


テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

お絵描きアプリとヤモリ絵
展示会の余韻魔法もほどよく解けてきた今日このごろ。
春分の日を過ぎるとようやく春らしくなってきましたね。
暦は正しい!w

さて。
最近、iPad miniなるものを購入しました。Retinaモデルです。

SNSやメールチェック、カメラや写真加工、ネット検索、乗換検索、地図検索、あと青空文庫で読書なんかに使っているのですけど、旅に連れていくのにちょうどいいサイズ!
首と目が凝ってしまうのでやりすぎ注意と思いつつもいい相棒になってくれてますw

お絵描き系アプリもいいのがあるんですねー。
今ハマっているのは「Pen & Ink:水彩色ノート」というアプリ。

元々ペンタブレットを買うか買うまいかをずっと考えてたこともあって、タッチペンを使って絵を描き出したらちょっと面白くなってきてしまいましたw

まあ、クオリティはたいしたことないのでホントにまだお遊びですけど(私が描けるものは極端に偏っていますw)、戯れに紺のプロフ画像のヤモリ+本の絵を水彩タッチで描いてみましたー♪(画像を下敷きにしてトレースw)


紺ロゴ



ちなみにこれまで使っていたプロフ軍団いろいろ。


一番最初のブログのロゴ。
この頃は猫モチーフ。
logo_kswords.gif


布にクレヨン描きしたもの。
山で即興物語屋をする時の看板にも使っていました。
title logo yamori


布描きのものを写真撮影して加工したもの。
版画っぽくってわりと好きです。
ロゴ画像s


一昨年、イラスト描きのこゆかさんとコラボ展「エルバーからの届けもの」を開催した時にこゆかさんに描いてもらった紺やもり。オリエンタルな雰囲気がとってもお気に入り。
プロフ_エルバー紺


とりあえず、まだ当分私は「やもり」でいくつもりです。
ヤールー(沖縄の方言でやもりのコト)な紺をどうぞよろしくw

テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

☆御礼☆「瓶詰め兄弟の本棚」展、終了
2014年2月15日から26日まで、
12日間に渡って開催させていただいた
中川紺・物語作品展「瓶詰め兄弟の本棚」は、無事最終日を迎えました。

瓶詰め兄弟の本棚


会場の古本屋ワールドエンズ・ガーデン(以下WEG)の小沢店長には、私のワガママをたくさんきいていただき、本当に自由に展示をさせてもらいました。

また後半のイベントデーでは、音語り座マカロンのメンバーでもある、二胡奏者・木村ハルヨさんによるミニライブも実現。

会期中は知人友人はじめとして、webでご覧になって来て下さった方や、本を物色するついでで読んで下さった方やら、たくさんの方に作品世界を味わっていただくことができました。

関わって下さったたくさんの方々に、
この場をお借りして感謝の気持ちを改めてお伝えします。

ありがとうございました!!!


……さて。
写真を並べてちょっと展示を思い出していきますかねー!



□きっかけ

WEGの店長の呼びかけで集まった6人で、1年かけて作った『灘四季物語・春〜冬』の4冊のフリーペーパー。
灘のまちの地図と物語がセットになったシリーズをみんなで作りあげていく行程は大変ながらも楽しく面白く、達成感MAXであった。
(「灘四季物語」はWEGで配布しております)

瓶詰め兄弟の本棚


この冊子作りに関わったことでWEGさんとのご縁ができて今回の展示会につながったのである。



□設営の裏話


瓶詰め兄弟の本棚


古本屋に小瓶。
物語が入った小瓶。
物語とその断片の品が入った小瓶。

瓶詰め兄弟の本棚

置き場所を考えたのは私。
・・・ではない(笑)

  「写真とかカメラとか」
  「手芸関係」
  「おじいちゃん」
  「人生の最後の時」
  「オンナノコの恋愛」


と私が告げるキーワードに、店長が
「じゃ、このへん開けますんでどうぞ」
と場所を作ってくれたのだ。


瓶入りなのにさらにコップに入ってたり。

瓶詰め兄弟の本棚


これは女子に人気の恋瓶エリア。

瓶詰め兄弟の本棚


そうやって、21の物語瓶と、1つの空瓶(入口に飾ったボンベイサファイアの青い瓶のことです)、計22の瓶たちが店内に鎮座した。

瓶詰め兄弟の本棚



□展示風景

瓶詰め兄弟についてのプロローグが書かれたパネルを4枚。

瓶詰め兄弟の本棚

といってもプロローグしか用意していないのであとはみなさまの脳内でご自由に…(笑)



「黄色い色鉛筆」はわりと人気だった。

瓶詰め兄弟の本棚


「錆びたフック」も気に入ってくれた方多し。

瓶詰め兄弟の本棚



全部読んだか分からん!
という方も多そうだったので展示二日目くらいに全タイトル一覧を掲示(笑)

瓶詰め兄弟の本棚
(これ、実はひとつ大きな間違いが……気づかれたでしょうか?)



□スペシャルイベントデー

2月23日(日)は2つのイベントを開催。

「即興物語屋・紺」
   と
「木村ハルヨ 二胡ミニライブ」


スペシャルな一日は14時頃にはじまった。

まず店内の隅っこに、書斎スペースが登場。

瓶詰め兄弟の本棚


ここで物語をリアルタイム生産!
瓶詰め用意して(紙表紙版もあるよ!)いざ即興物語屋がスタート。

瓶詰め兄弟の本棚


最初のお客様の「七」から始まり「五一八」までの十のお話を、、、
書く・書く・書く・書く・ひたすら書く。
合間にライブと休憩をはさみつつ、ひたすら書く。

ちなみに今回の即興創作ではお客様に次の3つの「注文」をつけている。
 1、お題を数字で下さい(1〜3けたまで何でもOK)
 2、書き出しを「兄」か「弟」かどちらか選んで下さい
 3、仕上がりを「瓶詰め」か「表紙付き」かどちらか選んで下さい


書き出しは、最初やや兄が優勢で、最後に弟が追い上げた感じ。
瓶詰めもたくさん旅立っていった。

瓶詰め兄弟の本棚


そして二胡ライブ!

歌うように二胡を奏でる木村ハルヨさん、いやハルヨねえさん(とあえて呼ぶ!)の曲が、店内に満ちた。

瓶詰め兄弟の本棚


古本屋、というか、WEGにはとても二胡の音色が似合った。

瓶詰め兄弟の本棚

二曲目に登場した「燕になりたい」は、私もひそかに別の楽器で弾こうと無謀なチャレンジをしかけたほど好きな曲。
自分のイベントで自分が大好きな曲を弾いてもらえるという贅沢。ひー。

以前ハルヨねえさんにお題をいただき即興創作した「二胡」という物語を、ライブ半ばで朗読させてもらった。……えっと、私がw
妙な緊張をして読み間違えましたスミマセン(笑)
私のグダグダ感はMC上手なねえさんに助けてもらってますww

さて。昔この物語を作った時、代金として物々交換でいただいたのが二胡演奏。
今回の朗読後には、その時に弾いてもらった曲「チェス」も登場。
男女の恋の駆け引きをチェスに例えた曲で、何とも切ない恋の響きが伝わってくるのである。



30分ほどのライブタイム。
初めて二胡を聴いた方も多く、お客様にも楽しんでいただけたようでした。
やってよかった!

瓶詰め兄弟の本棚



□最後の小瓶

即興物語については、実は後日あと2作品を書き下ろした。
1つは、イベント日に来たかったけれど間に合わなかったというお客様が別日に来店されて、その方へ。
もう1つは、今回の展示でお世話になった店長へ。

そして瓶詰め物語が、1つだけ今もお店に残っている。

瓶詰め兄弟の本棚

店長考案の「雨の日あめちゃん」の瓶に、忍ばせている。
この瓶は、雨の日にしか登場しないそうなので、雨日にWEGに行ったならば、こっそり読んでみてください。



最終日の一日前、私の在店最後の日に店長がビールを用意してくださり、プチ打上げ。アテは友人知人の差入れお菓子たち!
瓶詰め兄弟の本棚


今度ここでやるなら何する?
というところから、なんとなーくモヤモヤ〜っと次の構想が固まりました(笑)
またやるでしょう、きっと。

遠くない将来。
(もしかしたら、今年中かもしれないw)

その時にはまた紺ノ世界に、少しおつきあいいただけましたなら、幸いです。


最後に、可愛くてやんちゃで自由なにゃんこ、
WEGのホントの店長、ぶんちゃんの写真を!

瓶詰め兄弟の本棚

テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

準備に追われつつ。
10月は展示会「エルバーからの届けもの」公演「音語り座マカロン〜龍をさがして」が重なって、もうかなり自分の中がいっぱいいっぱいになっておりますー(@_@)


でも好きなことをやってるのでノーストレス!
考えるのも作るのも書くのも妄想するのも楽しい!!
むしろ最近毎日のように朝4時に蚊に刺されて起こされるのが超ストレス(笑)


「宿題は夏休み最後に何とかする」精神で必死で準備を進め中ですw
DMやチラシを快く受け取っていただき、行くねー、観に行きますねーって言ってくださる知り合いの方々に感謝しつつ、みなさんに楽しい世界をお届けできるように200%出し切ります!


公演と展示会まであと少し。

楽しみにお待ちください!


(摩耶山リュックサックマーケットの即興物語をなかなかアップできずにスミマセン!とりあえず展示会がはじまるまではぎうぎうなのでそれからやります〜)




相棒展2

夏の終わり、うかれ気分でひとりひっそり行ってきた「相棒展2」
展示のヒントもちょっともらったのですよ、実はw

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箸休めのお話「心労」
「おしえてくれないか」
私は<心労>の電話番号を尋ねた。

「いいけれど、あんたもそれなりの代償を払っていただくよ」
相手は抑揚のない声でそう言った。

かまわない、と思った。
それで奴が消えてくれるならば。

相手はゆっくりと番号を告げた。
私はしっかりとそれをおぼえる。
メモを残してはいけないと、言われているのだ。
番号を二度確認して、顔をあげた時には、もう相手はいなかった。
どんな顔をしていたのか、思い出そうとしても、できなかった。

まあいい。

わたしはおぼえた電話番号を早速プッシュする。
トゥルルル、トゥルルル
2回鳴って、すぐつながった。

「番号と名前を」

私は手元の名刺を見ながら、奴の携帯の番号と名前を間違わぬようにゆっくりと告げた。
名前の最後の一文字を言い終わった瞬間に、ぷつん、と電話は切れた。

それから私は、なるべくさりげなく、奴を観察した。
時々、奴の携帯が鳴る。奴が出る。
困惑と焦りと恐怖が入り交じった様子で奴が受け答えをしていた。
そんなことが何度もあった。
電話の間隔はどんどん短くなっていた。
同時に、奴はどんどん弱っていった。

半年ほどした頃、会議の途中で奴は胸を押さえて倒れ、そのままこちらの世界には戻らなかった。
俺の復讐はようやく遂げられた。
長かったのか短かったのか、これでよかったのかそうでないのか。
分からないけれど、俺はこれで満足だ、そう思いながら……もしかしたら、思い込みながら……今はもう無い右腕を撫でた。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
<心労の電話番号>という言葉から思いついた、ちょっぴりダークな物語。
主人公と奴との間に何があったのか?無い右腕が物語るものは?
あとは読者の方のご想像に…。

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

イチゴ狩りと保険のお話。
2005年に勢いで書いたショートショート(?)を改めて読んだらちょっと笑えたので、こっちにも掲載してみようかと思いましてw

===============

「イチゴ狩り」


「ねえ、まだあ?」

 女が不満そうに言う。もうこれで5回目の「まだあ」だ。
「もうすぐだからさ」
 つとめて穏やかに俺は答える。

「こんな大変だったら、イチゴ狩りになんて行きたいって言うんじゃなかったなあ」
「何言ってるんだよ。この山の向こうのイチゴ畑、ホントにすごいんだぞ。穴場でさ、車道が整備されてないけど、そんなにかからないからさ。めっちゃくちゃウマイやつ食わせてやるって」
「ふーん、そんならしょうがないよねー。あたしもうちょっとがんばる」

 ああ、こいつ、頭悪いやつでよかった、と俺は思う。

 それからさらに十数分進むと、周りの薮はどんどん深くなっていった。
 水の流れる音が聞こえてきた。そろそろだ。
「ねえ、ねえ、イチゴジャムとかつくってみる?」
 女はご機嫌だ。たしかに料理はウマいのだが。

「残念だよ、君のイチゴジャム食べられなくて」
 俺は女の方に向き直ると、間髪入れず、突き飛ばした。
 一瞬、女は何が起こったのか分からないという顔をしたが、すぐに恐怖の表情に変わり、声をあげながら谷底に落ちて行った。

 この岩場に落ちたら助かるまい。
 落ちる寸前、女は「どうして? あたしを選んでくれたんじゃなかったの」という目をしてこちらを見ていた。
そうだ、君を選んだんだ。君を消す方をね。

 周りには人の気配はない。
 あたりまえだ、俺が持っている山なんだから。
 ついでに言うと、イチゴ畑なんか無いよ、こんな山の中に。
 ほんとにおバカだなあ、君は。

 さて。

 携帯を取り出して電波が入っていることを確認する。
 俺は背中のリュックを下ろして、中からパソコンを取り出した。
 死体は当分見つからないにしても、念には念を入れておくべきだろう。
 ここから遠隔操作で自宅の仕掛けを動かす。俺がこの時間帯に自宅にいたというアリバイがいっちょうあがりだ。
 あとは婚約者のマリコに電話でも入れようか。
 片手でパソコンを取り出しながら、もう片方の手で履歴からマリコの番号をプッシュする。

 突然、ポケットの中でバイブレーターが作動して、思わず俺は手にしていたノートパソコンを足下に落としてしまった。
 ガッ、と鈍い音がした。ちょうど大きな岩の角に、ぶつけたらしかった。

 震えたのは、あいつの携帯だった。もしもの場合に助けを呼べないように抜き取っておいたものだ。
 バカなことに、俺はマリコではなくあの女にリダイヤルしてしまったのだった。さすがの俺も、動揺してたらしい。
 あわてて、電話を切って、パソコンを開く。

 パワーボタンを押す俺の手は、じんわりと汗をかいていた。
 急所をやられたのか、パソコンは低いモーター音をあげるだけで、モニターには何も映る気配はなかった。

 こういうのって、保険おりるんだっけ……ぼんやりした頭で、どうでもいいことを考えていた。

(了)
===============

実はこれ、某保険会社が紹介していた次の事故事例に触発されて思わず書いてしまったおハナシです。


 「イチゴ狩りに出かけて、

  山の中でパソコンを出そうとして、

  手を滑らせて落とした」



どんだけレアな事例やねん!
と、もう心の中でツッコミまくり、そのテンションで作品化。
そしたら火サスのノリになってしまいましたww
文はいろいろ雑ですがあえて勢いでそのまま掲載します。

おバカなお話ですみません(笑)
箸休め的に楽しんでいただければ幸いにございます♪

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年賀状、製作中!
またまたごぶさたしています (^^ ;
今年も残すところあと6日。
やはり年末はバタバタとするものですね~。

毎年、このくらいの時期になると、年賀状づくりに追われます。
酉年の2005年から、年賀状に干支の動物にちなんだ小さな物語を掲載しています。寅年の2010年は虎のお話。
友人と買物に出かけた時に、ネタを思いつきました。
さ、あとはデザイン、デザイン。

お正月の記事には、虎の物語と、年賀状のデザインを掲載予定です。


ちなみに過去のお話はこちら。

2009年の牛のお話

2008年の鼠のお話


==========


>「黄昏色の歌姫」の作者さんへ
お返事が遅くなりました。
ペンタブレットの使い心地はいかがですか?
漫画を描かれるとはすごい! いつか山の上で見せてくださいね!(^^)
それから歌姫のブラックなお話っていうのも興味津々です。
機会があれば読ませていただければと~♪
来年3月からもまた物語屋で摩耶山リュックサックマーケットに出店する予定です。山に来られたら、ぜひお立ち寄りくださいませ!

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