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書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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夢087話「ある女優の物語」
こんな夢をみた。

一人の若い女がいた。
彼女は女優を目指し、夢叶い、二十歳になる前にはスポットライトを浴びる場所に立っていた。

その個性は、あちこちのドラマやCMからひっぱりだこになり、しばしの幸せな時を過ごしたが、それも長くは続かなかった。

いつの間にか彼女は、CMで共演する子どもたちの引き立て役になり、カメラに顔が映る時間も減っていく。

持っていたマニアックなぬいぐるみのおかげで、一時期は話題になったものの、中年にさしかかった彼女には、もうまともな仕事は来なかった。

彼女は引退を決意した。

今は、昔なじみの元男優に紹介されたお弁当工場で、毎日ごはんをひたすら詰めるのが、彼女の仕事である。

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これはいつぞや見た夢のデキゴトです。
一人の人間の成功と顛末?みたいなものを一瞬の夢でみました。
夢の中では私は、彼女になったり、第三者的に観客になったりしてました。
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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

夢086話「ネイリスト」
こんな夢をみた。

駅のホームにいる。
お客さんがたくさんベンチに座っている。

ホームの端の方から、仕立てのいいスーツを着た数人の紳士が軽い身のこなしで近づいて来る。

何だろう?

と思っていたら、しきりにお客さんに何か呼びかけている。
私のそばにやってきたその紳士の一人は、

「爪、きれいにしますよ。両手で千円です。」

と言った。
路上ネイリストらしいのだが、


全員男で、イケメンで、スーツ姿


なのが新鮮である。
思わず千円を渡して、ネイルケアを頼むと、手慣れた手つきでやすりを使い、あっという間に私の両手の爪をぴかぴかにしてしまった。
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これはいつぞや見た夢のデキゴトです。
うーん、ホストっぽい。笑
ネイルサロンに行きたいな、と思ってたらこんな夢に。

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

no.34「112」
112_年賀状
(写真:2008年の年賀状の束には…)


 私は元日があんまり好きじゃない。
 私にとっての去年の元日は、一年で一番「不吉な日」だったから。

           * * * * *

 去年の一月一日、その古いマンションの部屋があまりに冷えるのでなかなか起き上がることができなかった私は、ようやく昼近くになってごそごそと布団を這い出した。
 大家のおばさんが分けてくれたおせち料理で遅めの朝食を食べる。

「いつからお休みなの? 実家には戻らないの?」
「正月二日から仕事なんで、実家には二月まで帰らないんです」
家賃を支払いに行った時にそう答えた私に、おせっかいなおばさんは「でもお正月なんだから、おせちくらいはね」と大晦日の晩に届けてくれたのだ。入居当時から、なぜか私は大家さんに娘か孫のようにかわいがってもらっていた。
 あつい緑茶を飲んで、少し暖まったら、上着を着込んで一階のポストに届いた年賀状を取りに降りた。

 色とりどりのハガキは大した数も無く、いつもの顔ぶれ。大学時代の友達エリとアツコ、幼なじみのユウコ、同級生の面々、前の会社で仲の良かった同僚、北海道に住んでいる律儀な兄の一家などなど……。
 流し読みしながら階段をあがっていた私は、ひらりと落ちた一枚を拾おうとして、バランスを崩した。前夜の寒波で、霜がおりた階段は、いつも以上に滑りやすくなっていたのだ。

 あ、と思う間もなく。私の体はさっきまで立っていたポストの前に転げ落ちていた。着込んでいたおかげで体への衝撃は少なかったが、足首が、明らかにおかしなことになっていた。寒さとともに、激痛が走った。

 音に驚いた住人が様子を見に飛び出して来て、慌てて救急車を呼んでくれた。
 医者の診断は骨折、全治3ヶ月。女の子だし、顔に傷が残らなくてほんとによかったわぁ」と、大家さんはお見舞いで何度もそう言った。
 そんなこんなで、去年の元日は、ホントにツイてない日のスタートとなってしまったのだった。
 その後の仕事や生活にも数々の支障が出て、何となくケチのついたような一年を過ごし、また元日がやってきたのだ。

           * * * * *

 今年の年賀状は心無しか数が増えた気がする。去年のケガでしばらく会ってなかった友人と連絡がとれたことも影響したのかもしれない。
 とにかく「読みながら」階段を上がるのだけはやめよう、と、慎重に部屋まで戻った。去年のことがあってから、また今年の元日にも何かとんでもないことが起こるのではないかと理由も無く不安になっているのだ。
 でもそんな不安も、年賀状に書かれたメッセージを読んでいくと、少しだけ薄まっていく気がした。

 しばらく読み進めて、
 「なにこれ」

 思わず声に出してしまった。
 ハガキの束の中程に、差出人のない赤いハガキが挟まっていた。いや、差出人どころか、宛先も年賀状絵柄の印刷も何もない。両面が真っ赤なハガキサイズの紙。
 ただ、裏面には箔押しの字で小さく隅に「112」とだけ印刷されていた。

 郵便配達の仕分けで使った色紙か何かかと思ったが、それにしては上質な紙で、しかも金文字。謎めいた文字の意味を考えずにはいられない。

 脅迫状とか暗号? でもこれじゃあ意味不明だ。
 当選番号? ツイてない去年は、賭けやくじに手を一切出してない。
 1月12日、あるいは11月2日という日にちで思い出すこともない。
 誕生日でも何かの記念日でもない。
 住所にも関係ない。

 もしかして何かのお告げ?
 112という数字の何か?
 112番……?
 112回……?
 ……112点……?
 ……………112度……………?
 

           * * * * *

 川のほとりで番号を読み上げている、という奇妙な夢を見て、目が覚めた。
 前夜の睡眠不足で、少し居眠りしてしまったらしい。
 しかし目覚めても、やはり水の流れるような音が聞こえていた。
 一瞬のうちに頭の中で記憶が整理されていき、私は反射的に立ち上がって脱衣所に走った。洗濯機のはずれたホースから流れた水が、床を小さな湖に変えてしまっていた。

 「やっぱり元日って最低!」
 私は、水を止めて、力なく座り込んだ。

 慌てて濡れた床の始末をして、一通り落ち着くと、ふと階下の部屋のことが気になった。古いマンションだし、もしかしたら下の住人に迷惑をかけてしまったかもしれない。とりあえず、一声かけに行かないといけないだろうな。そう思うとまた気が重くなった。勤め人の一人暮らしが多いこのマンションでは、両隣くらいしか顔を知らない。下の人が気難しい人だったらどうしよう。いやそれよりもこんな日に家にいるのかどうかも分からないし……。
 とにかく、早めに対処しておいた方がいい。私は手早く着替えて簡単にメイクをすると、階下に向かった。

           * * * * *

 「藤崎」と書かれたその表札の上に「112」というどこかで見たような部屋番号があった。まさか、とは思いたいが、やはりあの赤いハガキは私にとっての「凶みくじ」だったのかもしれない。
 この偶然の一致に増々落ち込みながら、恐る恐るインターホンを押した。留守かと思い二度目のベルを鳴らした時、若い男の人らしい声で返事があり、上の階のものだと告げると、扉がゆっくりと開いた。
 相手が顔を出すなり、私は頭を下げて、すみません、と言い、洗濯機のホースが外れてしまったことと水漏れしているかもしれないことを早口で告げた。
 ちょっと待ってくださいね、と一旦家の中に戻ったその人は、しばらくして戻ると「大丈夫ですよ」と柔らかい声でおしえてくれた。
 私より少し背の高い色黒の優しい目をした男の人が、こちらを見て笑っていた。
「すぐに対処されたから、よかったんじゃないですか? ウチの方はまったく問題ないですし。わざわざ伝えに来てもらってどうも」

 よかった。
 水が漏れてなくてよかった。

 でもそれ以上に、驚きの事実が今、目の前にあった。

 人懐っこい笑顔のその彼は、私が去年病院通いをした時に、バス停の向うのグラウンドで何度か見かけてずっと気になっていた人だ。草野球のチームの練習で、すごくすごく楽しそうに球を追いかけていた人。

 同じマンションに住んでいたなんて。
 
 私は考えた。
 これは最悪の出会い?
 だって私は新年早々、水漏れ事故を起こしかけた上の階の住人だ。
 でもきっと、私は、これを最高のチャンスに変えてみせる。
 赤い紙もそう予言してる気がする。

 元日をもう「不吉な日」になんてしたくない。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)

この物語はフィクションです。
登場する場所のモデルはありますが、
登場する人物・団体名はすべて架空のものです。

お正月なので、年賀状にちょっとした幸せスパイスを。
それを生かすも殺すも、自分次第。

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

あけましておめでとうございます
年賀状2008


昨年の春以降は更新度合いががくんと落ちて、秋から冬まで長らく放置してしまいました。

反省です。。。(´^`;)

訪問していただいた方には申し訳なかったのですが、今年はリニューアル作業しながら更新もできるだけコンスタンスに続けていこうと思います。

妄想・空想・想像モード全開で、
ネタづくりです。(笑)


ではごあいさつ代わりに、小さなお話をひとつ。
これは年賀状に使った、干支をモチーフにしたもの。
(ここ数年、年賀状は物語付きです)
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『好奇心旺盛なティーカップ』


 森の中にひっそりと建つ小さな蔵の奥に、真っ白なティーセットがありました。何年も何十年も、ずっと蔵に閉じ込められていた、ティーセットの小さなカップは、外の世界が見たくて仕方がありませんでした。
 蔵に入って百年目のある日のこと。
 ティーポットやティーカップの持ち手と、砂糖入れのスプーンは、ピンクの尻尾となり、それぞれ白いねずみに姿を変えました。
 ポットはお父さんねずみ、砂糖入れはお母さん、カップはチビねずみになってちゅうちゅうと鳴きました。
 ねずみの一家は仲睦まじく蔵を出て行き、以来、彼らの姿を見たものはいないと言われています。


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とはいえ、これは年末に考えたものなので……
新年の初ストーリーは(たぶん)明日公開です!

お楽しみに!

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