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書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
即興MENU#006「まゆ玉」
即興006_まゆ玉

 箱をあけると、まゆ玉がいくつも入っていた。
 そっと指でつまんで持ち上げると、かすかな重みを感じたので、中にはかいこが入っているのだと分かった。

           * * * * *

 数日経つと、一つのまゆ玉にきれつが入り、中で何かが動く気配がした。次の瞬間、丸くて赤いものが飛びだした。
 それは模様のない、赤くてつるんとした羽根を持ったてんとう虫である。てんとう虫がまゆを作るとは、聞いたことがなかったが、そういう種類もあるのだろうと、何となく納得した。

 他のまゆからも次々に成虫が旅立っていった。それらは鮮やかな緑のバッタだったり、黒光りしたカブトムシだったり、モンシロチョウだったり、とにかく、カイコガは一匹もいなかった。 

           * * * * *

 残ったまゆ玉で紡いだ糸は、玉虫色の美しい布となった。

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これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「箱の中」
 お客さまの選んだ材料で、
 箱にまつわる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。

[お客様]…お隣で朗読をされていたKさん
[お題]…まゆ玉
[創作日]…2008年5月17日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
摩耶山リュックサックマーケットにて)


Kさんとはリュックサックマーケットでご一緒することがあらかじめ分かってましたので、即興実験のこともお伝えしていたのですが、お題は「まゆ玉」でいこう!と決めてこられたそうです。w
ちゃんと事前告知を出したら、お題持参のお客さまも増えるかもしれませんね。w
さて、まゆ玉というお題。
虫が苦手なKさんに、虫モード全開のお話を書いてしまいました。読みながら想像してクラっとされたみたいで、ごめんなさい~、なのですが、私が虫好きなので、どうしてもこっちに転んでしまいます。笑
でも最後だけは、綺麗な光景でオチにしましたのでお許しを。
途中、誤字を一つだけ発見して修正。簡単な単語ほど思い込みで間違えますね~


テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#005「勇気」
即興005_勇気

 箱をあけると、百円玉が入っていた。少し特徴のある汚れ方をしたその硬貨が、一体どういうものなのかは、すぐに思い出した。

           * * * * *

 最初は百円から始まった。次は五百円、その次は千円になり、もうその次からは、自分のおこづかいではとても間に合わない額になった。
 そう、ボクはあいつらのいじめの格好の標的になっていたのだ。

 箱の中には、他にも小石が一つと消しゴムが一つ。
 あいつらに投げてやろうとしても、結局できなかった石、おどされるままに万引きした消しゴム。

 でもボクは決心したんだ。
 もうあいつらと決別することを。

 そのために、まずこの消しゴムを店に返しに行こうと思う。

           * * * * *

 中身をすべて出した箱の底には、鏡があって、のぞきこむボクの顔がうつっている。
 その表情は、たしかに昨日とは違うと、思えた。

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これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「箱の中」
 お客さまの選んだ材料で、
 箱にまつわる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。

[お客様]…Nさん(男性)
[お題]…「ゆ」のつく言葉 → 勇気
[創作日]…2008年5月17日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
摩耶山リュックサックマーケットにて)


Nさんが好きな言葉だそうです、「勇気」。笑 ←笑ってすいません。でも知り合いなので許してくださいませっ。w
「勇気」で「いじめられっ子」の話を書いているのは、多少短絡的ではあるのですが、今回は本文の中にタイトルの単語を一切使わないという方法で作ってみました。最後に箱の底に鏡を仕込んでみたのは、個人的には気に入ったオチです。
ほら、何かを決心した時って、絶対目や表情に変化がでますし。
NさんはWEB公開を待って読まれるとのことで、実はまだ完成作品をご覧になられてません。
さて、いかがでしたでしょうか?w
ちなみに誤字も無くすみました。よかった。。。

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#004「手ぬぐい」
即興004_手ぬぐい

 箱をあけると、何やら布のようなものが、入っていた。とり出してみると、ちょうど首に巻けるくらいの、長方形の木綿である。

 白地に水玉の模様が青で染め抜いてあり、俗に言う”手ぬぐい”であると分かった。
 ちょうどスカーフのかわりになるものが欲しかったので、その日は水玉手ぬぐいを巻いて出かけた。

           * * * * *

 翌日、箱をあけると、やはり布のようなものが入っていた。とり出して広げてみると、白地に春野菜が緑で染めてあった。
 ちょうどお弁当を包むものが欲しかったので、くるりと包んで出かけた。

           * * * * *

 その翌日、箱をあけると、またもや布が入っていた。黒地に白で染め抜いてある柄は、まさに箱そのものだったので、迷わず箱を包んだ。
 包んだ瞬間、箱は闇に消え、それから二度と現れない。

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これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「箱の中」
 お客さまの選んだ材料で、
 箱にまつわる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。

[お客様]…大阪から来られた女性
[お題]… 手ぬぐい
[創作日]…2008年5月17日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
摩耶山リュックサックマーケットにて)


材料(お題)選びのためのくじで「FREE」が当たりましたので、自由に考えていただきました。
私が首に手ぬぐいを巻いているから、ということで、「手ぬぐい」がお題となりました。手ぬぐいフェチの私としても(笑)、うれしい限りかも。
出来上がりの作品も読んでいただき、「シュール感」を感じていただいたようです。w w
非日常な気分を少しでも楽しんでいただけたならば幸いです。
この作品は手書き段階での誤字は無し。ホッとしました。笑

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#003「ヨン様」
即興003_ヨン様

 箱をあけると、中から聞きなれないような、あるいは、よく聞いたことのあるような、明らかに日本語ではない言葉が、聞こえてきた。

 中には茶色っぽいじゅうたんが敷きつめられているだけで、カセットテープやICレコーダーなどの、音を発する装置が入っているようには、見えない。

 箱を試しに振ってみると、そのゆれに合わせるかのように音が大きくなった。
 よく見れば、じゅうたんの中ほどには小さな突起があるので、つまんで引っぱると、するりと抜けた。

 茶色い髪の毛、メガネ、やわらかい表情。それは紛れもなく、あの”ヨン様”である。

           * * * * *

 多忙すぎる国民的スターは、こうやって箱の中でクローンを培養しているのだ。

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これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「箱の中」
 お客さまの選んだ材料で、
 箱にまつわる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。

[お客様]…Sさん(男性)
[お題]…「よ」のつく言葉 → ヨン様
[創作日]…2008年5月17日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
(摩耶山リュックサックマーケットにて)


リュックサックマーケットでは針灸院を出店されていたSさん。
きっと凝ったお題を出されるのだろうなぁと思っていたら、韓流スターできました。笑
箱にヨン様を入れてみたら、なぜかするするとストーリーが浮かびました。

お客様にその場で読んでいただくことを考え、前回の時よりは、きちんとした字で書くことを心がけました。
が、しかし!
手書きの時点で、今回の誤字は2つ。(さすがにみっともないので直しました)
物書きとしていかがなものかと、自分にツッコミたくなります。苦笑

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

摩耶山リュックサックマーケットにて即興実験
5月17日(土)、摩耶山リュックサックマーケットに出かけました。

そして「物語屋」として出店。笑

お客さまにお題を出していただき即興掌編を作るという実験を、前月に引き続きやってきました。今回は、看板なんかもちゃんと用意して。(←カタチから入るの、大好きです。w)
といってもまだ実験キャンペーン中なので、お題はいただいてもお代はいただいておりません~。

摩耶山即興実験01

やり方を模索しながら、改良中。
次回くらいからは「売る」かもしれません。笑

実験に協力していただいたお客さまは4名。
つまり4作品を山上で書いてきました。

お客さまには、こんなメニュー本をご覧いただきます。

摩耶山即興実験02

中には、実験の手順を、コースメニューっぽく書いたりしています。

摩耶山即興実験03

メニュー本は、店のそれらしく、手作りしてみました。
製本教室に行った甲斐がありますよ、ホントに。笑

次に、用意したくじを引いていただき、お題の頭文字を決めていただきます。
くじには平仮名がひとつ書いてあります。
最初のお客さまは「よ」を引かれて、お題は「ヨン様」とリクエスト。

そして私が、即興創作タイムに入ります。
調理時間=創作時間は約15分。今回はだいたい目標時間内で完成させることができました。
「箱」というテーマが自分に合ったのと、書き出しを統一したのが勝因かも。


山の上の、晴天の空の下で、
他の人たちはパンとかクッキーとかアクセサリーとか服とかお酒とかを売っているというのに、


原稿用紙にペンで執筆している私って……。笑


実はお隣に出店されてたのは、何と「朗読」屋さん。
以前、作品を朗読で使っていただいたりして、お世話になった甲斐祐子さんが、朗読とアクセサリーのお店を出されていました。(甲斐さんのホームページはこちら→ぶぐばぐぶぐ
自分だけのために隣で朗読をしてもらえる状況、なんて、小さい頃に親が本を読んでくれた時以来です、きっと。w
朗読は、0歳から99歳までを題材にした短篇集の中から、好きな年齢を3つ選んで読んでもらえます。
もちろん私も読んでいただきました。

今度出店をご一緒する時には「物語屋で書いてもらったお話を、お隣の朗読屋さんで読んでもらえる」という連携プレーが起こるかも~。笑


さて、即興実験の4作品は、ただいまテキスト入力中です。

今日、明日くらいにはすべてアップします!

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08.05.20追記

リュックサックマーケット関係の検索やブログつながりなどで、いつもよりたくさんの方にご訪問いただいています。

日記をリンクしていただいたり…
こまつの日記 ほろっほー

ありがとうございます(^^)

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