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書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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即興MENU#031「布団」
即興031_布団

 隣の部屋はまだ空き室のようだったので、しばらくは気楽にすごせそうだと私は思いながら、引っ越しの荷ほどきをしていた。
 部屋いっぱいにつみ上げられたダンボール箱は、なかなかへらないので、その日の夜は荷物のまん中に布団をしいてねむりについた。

 翌朝、目覚めると、部屋の中の様子が何かおかしいと感じた。
 頭がさえてくると、事の重大さに気づいた。昨日運びこんだ荷物が、すべてなくなっているのだ。私はおどろいて布団からとびだし、まず管理人さんに連絡しようと部屋を出た。
 くつもないので、はだしで廊下を歩きながら、ふと表札をふりかえって見た。
 おかしい。
 今出た部屋は、私が借りた隣の部屋なのだ。ためしに自分の部屋をあけてもらうと、そこにはちゃんと荷物があった。布団だけが隣の部屋にしかれたままだった。

           * * * * *

 その次の朝も、目覚めると布団と私だけが隣に移動してしまう。どうやら布団は隣の部屋を気に入ったらしい。
 私はてきとうに理由をつけて、隣の部屋にかわることにした。

 その後、異変は何もおこっていない。

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これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「隣の部屋」
 お客さまの選んだ材料で、
 隣の部屋にまつわる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。

[お客様]…SHOPきつねの店長さん
[お題]…布団
[出題日]…2008年10月18日(土)
[出題場所]…摩耶山 掬星台
摩耶山リュックサックマーケットにて)


10月に「宿題」として持ち帰りさせていただいたお題。
年末ギリギリになってしまいましたが、ようやくお引き渡しです!
布団(や家具)と、部屋の相性というのもあるんじゃないのかなぁ、などと思い立ち、どうしても隣の部屋で暮らしたい布団クンの話にしてみました。笑


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今年のブログは、リュックサックマーケットでの即興創作の掲載がメインでしたが、即興の場はとてもいい刺激と経験になりました。

本来、物語(文章)というのは推敲を重ねて完成していくものであるのに、即興の粗削りでお披露目するわけです。それは、リスクを伴いつつも、思ってもみない展開を生み出すこともあり、それがとても怖くもあり、楽しくもあり、という感じでした。

まだお題のかなが残っていますので、来年もまた引き続き掲載したいと思います。
その他、新たな物語も時折更新していきますので、またふらっとのぞきに来ていただければ幸いです。

ではみなさま、よいお年を!!
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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

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