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書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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三余・三上
本日10/28付の朝日新聞朝刊の天声人語で読書がテーマになっていて、その関連で、中国の言葉「三余」と「三上」が紹介されていました。

三余は、読書するのに適した三つの余暇で、「冬」「夜」「雨の日」をさし、

三上は、文を練るのに適した三つの場所で、「馬上」「枕上」「厠上」をさすとのこと。




特に「三上」には、なるほどなぁと思います。

馬上=馬の上、馬に乗って移動中の時
まあ現在で言うなら、車や電車での移動中とかそんな感じでしょうか。
電車の中でアイデアが浮かぶこと、多々あります。まわりに人がいて、結構ざわざわしていて、車内放送などもあって決して静かではないのに、それがいい刺激になるらしく。家で一人で静かに、という時より、喫茶店で他人の雑談に紛れている時の方が集中できたりするんですよね。不思議。笑
あと、何かに乗ってなくても、歩いている時にパッと書き出しや情景が浮かぶことも多々。そういう時は、携帯電話を使ってメモしてます(^^)


枕上=寝床
布団に入ってしばらくすると、もやもやもや~っといろんな考えが浮かんできます。(疲れてると即、夢の国行きですが。笑)
脳内が整理体制に入りかけてるのかしらん?笑
場合によってはかなりいいアイデアや言葉を思いつくことがあるので、枕元にはメモ用紙とペンを必ず置いてます。朝目覚めた時に面白かった夢を忘れぬうちに書き留めるのにも重宝~。


厠上=トイレ
用を足している時かどうかはさておき、トイレという空間が落ちつくので文を練るのにいいというのはよく分かります。
一人で、誰にも邪魔されず、囲まれた狭い空間。
トイレであまりアイデアを練ったりすることは無いけれど、私の場合はお風呂の浴槽がそれにあたるかも。
温かいお湯に満たされて、適度な圧力を受けつつ、容れ物におさまって、落ちついてると、不思議と脳内が整理されていく気がします。
夜、仕事をしている時に、行き詰まったらお風呂入って気分転換してますし。笑



いずれにしても、家で一人で静かにパソコンに向かってる時には、物語のネタやいい文なんてまったくもって出てきません。笑
たぶん、昔の人も似たようなものだったんでしょうね~(*^^*)
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テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

即興MENU#2-008「コルク栓」
即興2-08_コルク栓

 風が吹いた。東の方角からだ。

 風といっても、ひゅうと吹くあの風ではない。事件現場の気配がすることを、そう表現しているだけだ。
 今度は何だ、と思いつつ、車を東に走らせた。夜の九時を少しまわったところだった。
 
           * * * * *

 銀行での立てこもり事件らしい。ヤジ馬の人たちからの情報をまとめてみると、行員の一人が残業中に、同僚を人質にして突然たてこもったという、何とも意味不明な事件である。

 私は事件現場の周辺を念入りに調べはじめた。原因はきっとこのあたりだと思った場所に、小さな穴を見つけた。
 半透明の気体が染み出してきている。もっとも他の人には見えないだろうけれど。

 ポケットに手を入れコルク栓をひとつ出し、塀にあいた穴に、きゅっと詰めた。それはぴったりとはまり、気体は止まった。おそらくそのうちに事件は解決するだろう。
 
           * * * * *

 穴からもれてくる気体は、誰かの悪夢である。時としてそいつは他人に移り、とんでもない行動に走らせる。世の中の事件の、ほんの一部は、悪夢によるもので、私の仕事はコルク栓でその穴をふさいでやること。

 もちろん、穴もコルク栓も、他の人には見えないのだけれど。
 
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「風が吹いた」
 お客さまの選んだ材料(=持ち物)で、
 “風が吹いた”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。

[お客様]…山でペタンク中だったTさん(男性)
[お題]…コルク栓
[創作日]…2009年10月17日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
摩耶山リュックサックマーケットにて)


毎回山の上でペタンクを楽しまれているTさん。
3つのお題候補を持参されました。
で、一番無難なコルク栓を選んだのは私。笑
チャレンジ精神で、難しそうなお題を選ぶべきだったかしらん?と思ったりもしましたが、「普通のお題で書いたお話が、まったく普通じゃない」ものになったのでこれでよし!としたいと思います(^ ^)

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#2-007「小さなブーケ」
即興2-07_小さなブーケ

 風が吹いた。巻き上がった砂ぼこりが、マユの目を直撃したらしく、痛っと言ってからポロポロと涙をこぼしはじめた。
 オレはメガネなので平気だが、マユはハードコンタクトを入れてるので、ホコリにはめっぽう弱い。とにかくどこかで洗わないと、とあたりを見回した。
 バスをおりてからしばらく歩いたその山すそには、民家も公共トイレも見あたらなかった。
 
           * * * * *

 マユとの旅行は、付き合いはじめてこれが始めてで、できるだけ観光地っぽい場所は避けたいという彼女の奇妙なリクエストにこたえて、全く有名でない田舎町の自然を見に来たのだった。

 民家はなかったが、すこし先に白い建物が見えた。マユが転ばぬよう手を引いて近づくと、赤い屋根の小さな教会で、庭に牧師さんらしき人が立っていた。

「それは大変でしたね。どうぞ手洗いをお使い下さい。こちらの廊下の先になります」

 心よく手洗いを貸してもらい、戻ってきたマユとオレは教会のステンドグラスを見ながら、こういう場所で結婚式をしたいねと話した。
 帰りまぎわに、牧師さんが小さなブーケをプレゼントしてくれた。庭の花を使ったそのかわいいブーケは、今のオレたちにすごく合っている気がした。
 
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「風が吹いた」
 お客さまの選んだ材料(=持ち物)で、
 “風が吹いた”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。

[お客様]…初来店の女性(中学生とのこと!)
[お題]…小さなブーケ
[創作日]…2009年10月17日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
摩耶山リュックサックマーケットにて)


かわいい女性がかわいいブーケをお題に持ってきてくださったので、こりゃカワイイお話にしなきゃ、と思って(笑)、教会を舞台に仲良しのカップルを描きました。
このお話、私の中では続きがあって、二人は将来、本当にこの教会で式を挙げに来て、庭でのガーデンパーティーとかをしたりします。
もちろん、その時のブーケも、牧師さんが作ってくれるのです♪

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#2-006「免許がとれた」
即興2-06_免許証

 風が吹いた時、カードのようなものが目の前に飛んできた。
 拾ってみると運転免許証である。どこから来たのかと周囲を見回してみるが、それらしい人影は見あたらない。どうしたものかと思い、もう一度カードをよく見る。

 『第二種 風師免許』とある。

 自動車免許じゃないのか。いやそれよりも風師って何だよ。オレは運転免許証そっくりのデザインのそのカードを持ったまま首をかしげた。

 本来なら交番に届けるべきなのだが、オレは持ち主に直接返しに行くという方法を選んだ。どうしても風師が何かを聞きたくなったのだ。いや、聞きにいくべきだオレは、とさえ思った。

           * * * * *

 記載された住所は、小さなビルの一室だった。出てきたのは免許証と同じ人物で、その中年男性は、まるでオレが来るのを知っていたかのように「風師(かぜし)免許に、興味がおありなんですよね」と告げた。

 うなずくと、小さなパンフレットを差し出した。

 「風師とは、風を読む力を持つ者のことです。もちろん気象上の風コースもありますが、世の中の流行の風や、経済の風、つまり流れを読むコースが人気ですよ。費用は多少お高くなりますが、ヘタに経営セミナーなんかに行くよりは確実。いかがです?」

 オレはその話にひかれた。そして一年後、無事免許をとった。
 かなりの費用を使ったが、これから風師としての力を発揮すれば、数ヶ月で元はとれるはずである。
 
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「風が吹いた」
 お客さまの選んだ材料(=持ち物)で、
 “風が吹いた”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。

[お客様]…初来店の男性
[お題]…免許がとれた
[創作日]…2009年10月17日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
摩耶山リュックサックマーケットにて)


お題の持ち物は、免許証!
写真は、個人情報保護保護……と必死のぼかし作戦です。笑
(ご本人にはぼかして使用することの了解を得ています)
タイトルもお客さまにアレンジしていただきました。
風師の訓練や試験って一体どんなものなのか…、そのあたりをテーマにもうひとつお話が書けそうです。

★メルマガでご紹介いただきました!★
お客さまが発行されるメルマガにて、当作品&ブログをご紹介いただきました~♪
なんと、現役教習指導員の方だったそうで、免許証をお題にいただいたのも納得!です(^^)
こちらが、佐々木さんのメルマガ「運転が好きになる成長のメールマガジン」
最新10/24発行のvol.53で紹介されてます!
 ↓ ↓
http://archive.mag2.com/0000274814/index.html



※手書き原稿に誤字発見……「発揮」と「発輝」と書いてしまってました。。。
 久々にやってしまいました。気を付けなければ!苦笑

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#2-005「水色の傘」
即興2-05_水色の傘

 風が吹いた。首に巻いていたストールをとばされそうになって、私はあわてておさえた。雨もだんだん強くなってきた。天気予報ではこんな荒れるって言ってなかったじゃん。と、ビニール傘越しに、すっかり暗くなったくもり空を見上げる。雨の勢いが強くて景色はほとんど見えなかった。
 いそがなきゃ、と思った。約束の時間がせまっていたし、足元もぬれて気持ち悪くなってきた。歩道橋を、転ばないように、早足で歩いた。
 
           * * * * *

 ケイタイをなくしたのは、昼頃で、何度もコールして、夕方になってやっとつながった。見つけてくれたのはタクシーの運転手で、座席の下にころがってマナーモードになっていたので、仕事が終わるまで気づかなくてと言われた。
 すぐ行きますと伝え、時間をとってもらい、近くの駅前広場で返してもらうことになった。とにかくヘンな人にひろわれてなくてよかったと私は思いつつ、駅前をぐるっと見回してタクシーをさがす。

 二台あるうちの一台のドアが開き、水色の傘をさした男の人がおりてこちらを見た。同い年くらいのその人を見て、すぐ、電話の人だとわかった。

 
           * * * * *

「オレもあの時、すぐに君が持ち主だと分かったんだよねぇ」

 あの日のことを、夫はなつかしそうに、今でも話す。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「風が吹いた」
 お客さまの選んだ材料(=持ち物)で、
 “風が吹いた”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。

[お客様]…お隣で出店していたお二人
[お題]…水色の傘
[創作日]…2009年10月17日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
摩耶山リュックサックマーケットにて)


お題の持ち物をいろいろ悩んで考えていただき、きれいな水色の傘に決まりました。
書き始めたときは、「傘の色で相手が分かる」ような設定で考えていたのですが、そのためには連絡をとった時に「水色の傘が目印」という話をしておかねばならず、でもわざわざ雨に濡れる場所で待ち合せるのもヘンかなと思い直して、結局、その設定は使わないで終わりました。
でも「彼がさしていた傘の色は、彼女が大好きな色だった」というつもりで書いています。
結婚してからも、二人の傘の色はきっと水色だと思います~♪

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#2-004「私のホース、みどり。」
即興2-04_ホース

 風が吹いたとたんに、みどりが庭にとびだした。みどりは風が大好きだから。
 
           * * * * *

 私とみどりが出会ったのは、学校のかえり道、川の近くにあるゴミすてばだ。川のそばには、大きな工場がいくつもあって、変わったものが時々すててあったりする。
 先生やお母さんには、そういうものはさわっちゃだめと言われているので、ふだんは近寄ったりはしないのだけど、その日は、何かの鳴き声がきこえて、私は思わずそばに行ってしまった。

 鳴いていたのは、みどり色のホースだった。せんたくきについているのよりはちょっと細くて短いホースが、ひゅうひゅうと鳴いていた。私にはそれが、「あそぼうよ」に聞こえた。
 
           * * * * *

 みどり色だったので、みどりと名付けた。みどりは私のペットになった。
 自分でうごけるし、はなしもできるけど、お母さんの前では、ただのホースになってじっとしてる。
 でも風が吹くと、ついうれしくて、ひゅうひゅうと鳴いてしまうのだ。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

【作品DATA】

本日の創作メニューは「風が吹いた」
 お客さまの選んだ材料(=持ち物)で、
 “風が吹いた”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。

[お客様]…SHOPきつねの小学生店長さん
[お題]…私のホース、みどり。
[創作日]…2009年10月17日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
摩耶山リュックサックマーケットにて)


常連の店長さんです。
お題の持ち物は何と山の上で手に入れたホース!
タイトルはお客さまに決めていただきました。
体に巻きつけたり、振ってひゅうひゅうと音を鳴らしたりしているのを見て、まるで生き物みたい!と思って、こんなお話になりました(^ ^)


ちなみに、このお話は物々交換でした。
私がもらったのはクロックスにつけるアクセサリ。
物々交換_クロックス

アイロンビーズでできてます。かわいいでしょ?♪

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

10/17(土)摩耶山で即興創作
本日、摩耶山リュックサックマーケットにて、
お題をもらって即興創作「物語屋」を出店してまいりました!

091017摩耶山リュック

雷と雨と霧に歓迎されつつの摩耶山でしたが(笑)、5作品をお買い上げいただきました。
しかも初来店の方がたくさん!
とてもうれしかったです♪(^^)v


お客さまの持ち物をお題に、「風が吹いた」から始まる短いお話を作りました。
あんなモノ、こんなモノ、多彩な持ち物が登場しました。

明日から、随時、作品をブログの方にアップしていきたいと思います。(といいつつ、急ぎの仕事が入り、日曜更新できませんでした。ので、月曜日から更新します!お待たせしてすみません!)


お買い上げいただいたみなさま、

 ありがとうございました!!



=====
当方宛で早速コメントを送ってくださったKさん、ありがとうございます!
記事をアップしたら、またぜひご感想など書き込んでくださいませ(^^)

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即興MENU#2-003「ハートのイヤリング」
即興2-03_ハートのイヤリング


 知らない人に変身できる、というのがそのイヤリングの効能だった。つけるだけで、自分とはまったく別人の外観を手に入れることが可能なのだ。
 若い女性のストレス解消法として、秘かに闇取り引きされている商品だった。私もひんぱんにそれを使った。他人になって好き勝手に遊びまわっていると、仕事のストレスを忘れることができた。使用回数は決められていたけれど。
 
           * * * * *

 ある時、イヤリングの先端のハート型の飾りを、どこかに落としてしまったことに気づいた。あの部分はスイッチなのだ。こわれたら、元に戻れないかもしれない。
 化粧室の鏡の前で、あせった私は携帯電話を取り出して、メーカーのトラブルセンターに連絡した。呼びだしコールを聞きながら、イヤリングを耳からはずしてみたけれど、私は私に戻れなかった。やはりスイッチが必要なのだ。
 
           * * * * *

「もう戻れませんよ」

 メーカーの担当者はそう告げた。イヤリングをつけた姿でいる時の方を楽しんでいる人は、ある一定レベルをこえると変身したままになるという。

 私は私を失った。

 でもあきらめてはいない。
 いつか「元の姿に変身できるイヤリング」に出会えるかもしれないと、私はイヤリングを買い続けている。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

【作品DATA】

本日の創作メニューは「知らない人」
 お客さまの選んだ材料(=持ち物)で、
 “知らない人”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。

[お客様]…Sさん
[お題]…ハートのイヤリング
[創作日]…2009年9月19日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
摩耶山リュックサックマーケットにて)


かわいいお題をいただいたのに、ちょっとブラックな感じのお話になってしまいました。イヤリングのハート飾りが一つとれてしまったとのことなので、ちょっとマイナス的ストーリー展開につなげてみました。
「そんなに別人が楽しいなら、ずっとそのままでいれば?」とイヤリングが宣告して、スイッチである飾りを破棄してしまう……そんなセリフをイメージしながら後半を書きました。
さて、彼女はいつか元の自分を取り戻すことができるのでしょうか?

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#2-002「ストール」
即興2-02_ストール


 知らない人だ。絶対知り合いではないと思う。
 なのに、なぜ、今、バーカウンター席で隣り合わせたこの男性は、私のことをカナと呼び、まるで彼氏のようにふるまってくるのだろう。
 あまりに自然体なので、「私の名前はカナじゃなくてレイコなんですけど」と言うことすら、できないでいた。

「カナ、いつものスパークリングワイン、飲まないの?」

 私はここでは、マンハッタンを飲むと決めている。カウンターの中にいるのは、いつものマスターではないので、それを分かってくれる人はいない。

           * * * * *

 カラン。ドアに下がったベルが来客を知らせた。
 入ってきたきれいな女性は、私たちの方を見て、「あ、やっぱり」と小さな声で言った。

 私の首に巻かれた、最近買ったばかりのストールを指さして、「これ、私のものなんです。間違えて店頭に出してしまって」とすまなそうな顔をした。状況をよく把握できないまま、代金を返してカクテルを一杯ごちそうしてくれると言うので、そのストールを彼女に渡した。
 両端に、ぶどうのような立体モチーフがついた、珍しいものだったので、少し惜しい気もしたが、彼女がぶどうの粒を一つちぎって彼の口に放り込んで何もなかったかのごとく、恋人としてふるまいはじめたのを見て、やはり返すべきものだったと、思えてきたのだった。
 
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「知らない人」
 お客さまの選んだ材料(=持ち物)で、
 “知らない人”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。

[お客様]…Rさん
[お題]…ストール
[創作日]…2009年9月19日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
摩耶山リュックサックマーケットにて)


写真ではうまく表現できないのですが、とても個性的でカッコイイ&ステキなストールでした。
ブドウのような飾りを見ていたら、ぷちぷちっとちぎって食べる絵が浮かんできて、それをオチにするようなお話にしてみました。
いろいろ謎なまま終わっていますが、あとはどうぞご自由に想像してみてください♪

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#2-001「ハンチング帽」
即興2-01_ハンチング帽


 知らない人に、突然呼びとめられた。
 髪の長い、きれ長の目をした女性である。なぜか分からないが、悪い人でも怪しい人でもないなという気がしたので、私はその人の話を立ち止まって聞いた。
 
           * * * * *

 これを、あなたに。そう言って被っていた黒いハンチング帽を手渡された。
 え? と聞き返すと、彼女はにっこりとして、きっとあなたに似合うから。とだけ言うと足早に立ち去った。どこかの角を曲がったらしく、気づけばどこにも見あたらなかった。

 手元に残された帽子に視線を落とす。とりあえず、と被ってみると、驚くほどぴったと私の頭に合うのだった。ショーウィンドウに映った自分を見てみる。失敗したばかりのパーマを、うまくかくしてくれていた。黒地に一本の白いレースが入っているフェミニンなデザインも、今日の服にぴったりだった。
 
           * * * * *

 思いの外、気に入ってしまい、私は毎日のようにその帽子を被り続けた。
 ある朝、裏地が、ベージュ色から、赤いギンガムチェック模様に変わっていることに気づいた。帽子を裏返す。リバーシブルなのだ。

 今日か明日には、きっと街中で、この帽子が似合う人に出会えるはずだ。
 
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
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本日の創作メニューは「知らない人」
 お客さまの選んだ材料(=持ち物)で、
 “知らない人”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。

[お客様]…SHOPきつねさん
[お題]…ハンチング帽
[創作日]…2009年9月19日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
摩耶山リュックサックマーケット)にて


第2シーズンの第1話。常連さんお買い上げです。
お題は、とても似合っておられた黒いハンチング帽。
そのレース模様と裏地のギンガムチェックも含めて、ちゃっかりとお話に使わせていただきました。
誰かに何かをプレゼントする時は、その人にどんなものが似合うかなと考えるのが普通ですが、反対に、プレゼントありきで、それに似合う人と出会うならどうなるかな?と思ってストーリーを組み立ててみました。
モノをお題にして書くのは、言葉のお題とはまた違った妄想がふくらみます。

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

明日から更新再開~
090919摩耶山リュック


山上で即興創作2シーズン目を告知しておきながら、ブログを1ヶ月近く放置してしまって

  すみませんすみません。汗


なかなか落ちついてアップする時間やら何やらがとれなかったり、気持ちの余裕がなかったり、でした。


さてさて。
9月の即興作品は3作品でした。

 「持ち物から物語をお作りします。」

というわけで、
準備が整いましたので、明日(10/12)の昼間から1作品ずつアップいたします。よろしくお願いいたします!

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