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書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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九分ノ空事_003【一月十九日】
九分ノ空事_003_日没後


 帰宅すると、荷物を置いて、慌てて屋上にのぼった。
 洗濯物が干しっぱなしだからである。

 日が落ちて、冷たくなっているシャツやジーンズを、せっせと取り込む。
 冬場は外に干しても、乾きが悪い。たこ足にみっちりと干していたタオルは端の方が湿っていた。
 それでもとにかくカゴに詰め込んで、よいしょ、と抱えると階段に向かう。

 屋上はマンションの五階部分にあたるので、途中の階段と廊下の開口部からは、外の景色がよく見えた。

 藍色と赤紫がブレンドされていく空。
 灯でライトアップされた高速道路。
 流れていく車のライト。
 うっすらとうかびあがる屋根のシルエット。
 日が沈んだ直後の、その色あいに思わず引き込まれた。

 そうだ。

 急いで階段をおりて、部屋に洗濯物をどすん、と置くと、スプーンとコップを持って、また戻る。

 空とまちが一番よく見えるところに立って、すっとスプーンを持つ手をのばした。

 すうっ。

 空にスプーンの先が入って、まるでムースを削るようにすべる。手前に戻したスプーンの上には、小さな青い欠片がちょこんと乗っかっていた。
 次は赤、次は緑、次は……。

 一、二分の間、夢中で色を拾った。
 そうしてるうちに、あたりはどんどん暗くなり、いつの間にか車のライトと街灯の色だけになっていた。貴重な時間はいつでもあっという間にすぎてしまうものだ。

 コップいっぱいにたまったきらきらの欠片たちは、冬の匂いがした。

 洗面器にお湯をはって、先ほどの欠片を流し込んだ。
 アイスが溶けるみたいに、何の抵抗もなくお湯に混ざっていく。
 そして、さっき見た彩色のショーが、再び水面で繰り広げられた。

 最後は夜の闇色になり、ぱっと無色に変わった。
 色が消える瞬間、隅っこに小さな月が見えた気がした。
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【九分ノ空事(クブノソラゴト)】
九分通り(くぶどおり)=全体の9割までといっていいくらい完全に近い様子。
空事(そらごと)=本当でない話。

たった一分(いちぶ)のホントから生まれた、うそ日記。
つまりは、ほとんどが作り話である。
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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

あけましておめでとうございます
2010年賀状 寅


新年明けました!
2010年がスタートです。

寅年ということで、虎の勢いで何事にもぶつかっていきたいと思います。笑

さて、恒例の年賀の干支話。


===============


『虎をかう』


 ふと立ち寄った玩具屋で、野生動物フィギュアのコーナーに目が留まった。
 手の平サイズのベンガルトラ。
「来年は寅年なんだから、干支の置物代わりになるじゃない」
 と、変な思いつきで、三千円もするその小さな虎を、買った。

 その日の夜から風邪をひいた。早めに布団に入って休んでいたら、こたつの上に置いておいた虎が、ゆっくりと伸びをして器用に床におりると、こちらへ歩いてくる。
 布団の隙間から猫のように入り、私の肩に寄り添って眠りはじめた。
 ぽかぽかと気持ちよくなって、知らぬ間に私も寝ていた。

 翌朝、体調はすっかりよくなっていた。虎の体温が効いたのだろうか。
 枕元には人形に戻ったベンガルトラが転がっていた。
 まだほんのりと、あたたかかった。

===============


友達のクリスマスプレゼントの買物につきあった時に、ネタひろいました。笑

そういえば初夢は、あまりにぐちゃぐちゃした内容で、記憶に残りませんでした。。。
去年も初夢記録に失敗したのに今年もまた…。来年こそはいいネタ夢を~。

代わり?に、摩耶山からの初日の出写真など。w

2010摩耶山初日の出

マイナス6度やら8度やらの世界でしたが、気持ちのいい日の出を拝むことができました~。
今年もみんなにとっていい一年になりますように。


そんなわけで、

本年も「紺ノ短篇集」をよろしくお願いいたします。


即興創作ばかりにハマってすっかりまとまった作品が書けなくなってますが、気合い入れ直していきたいと思いますっっっ。w

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