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書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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即興MENU#3-025「親ノ話」
即興3-25_親

 扉が開いた。扉の向うに立っていた中年の男女は、目の前に立っている小さな男の子を見てボロボロと涙を流した。
 その子は自分たちの子に違いないと言った。しかし子どもが自分の体のあざの場所をたずねると、二人は言葉につまり答えることができなかった。
 彼らは本当の親ではなかったからである。
 すごすごとその場を去っていった。

           * * * * *

 とあることがきっかけで、国で最大の財閥が、身よりのない小さな男の子を養子とした。ニュースはまたたくまに国じゅうにまわり、もしその子の親がいるのなら、それなりのことをしてもらえるというウワサのせいで、男の子の元には毎日のように親を名乗る者があらわれた。

 もちろんほぼすべてがお金や名誉や地位が目当てで、正体はすぐにあばかれて、退散することになるのだった。

           * * * * *

 とうとう百組目の親を名乗る者が来たが、その人達だけは他とはちがっていた。
 自分たちは、その子の本当の親ではないけれど、実は昔、子供を亡くしていて、その子とあまりに似ているので、一目会ってみたかったのだと言った。

 その時、神様はちょっとしたキセキを起こした。
 その子と二人を、本当の親子にしたのだった。
 悲しい過去の思い出を消してもらった三人は、ずっと一緒に暮らしたという。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「扉が開いた」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “扉が開いた”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(漢字ノ話・五十三次シリーズ)

[お客様]…二組目の二人組の男性のもうおひとかた
→この日、男性二人組が二組いらっしゃいました(^^)
[お題]…親(おや・しん)
[創作日]…2011年4月16日(土)
[創作場所]…摩耶山 虹の駅
(摩耶山リュックサックマーケットにて)

※強風のため公式中止となりましたが有志自主開催いたしました♪

最初にストーリーの骨子を思いついた時、実は結末がかなりブラックだったのですが、やっぱりちょっとなぁと思い直して、神様に登場してもらいました♪
この話は、裏にいろんな設定が隠れているのですがこの文量にはとても盛り込めず、あちこち無理のある展開になってしまっていますが、そのへんも神様のキセキで目をつむっていただけると幸いです(笑)
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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#3-024「職ノ話」
即興3-24_職

 扉が開いた。向うにずらっと並んでいるのは、赤ん坊たちである。
 何が起こっているのか分からずぽかんとこちらを見ているのだった。

「それじゃあ、お前はまずこっちの部屋だ。そっちのやつは隣へ、お前は向うの机へ、おい、よそ見するな、そこのやつは二階のはしの部屋だ…」

 いかめしい男は赤ん坊に次々と指示を与えていく。
 赤ん坊たちも言われた場所にいそいそと出かけていくのだった。

           * * * * *

「親方!こっちは合わないようですぜ」

 別の男が、いかめしい男を親方と呼んだ。
 親方は仕方ねえなと言いながら、そちらへ向かうと、そろばんの前に座って泣いてる赤ん坊を抱き上げると、隣の部屋に入れた。
 そこにはノミやカンナが散らばっていて、赤ん坊は楽しそうに遊びはじめた。

「よし。この子は木彫り職人になるみたいだな」
 親方は言った。その顔はいかめしいながらもやさしい。

           * * * * *

 数日後には、どこかの家で男の赤ん坊が生まれる。
 そしてその子はいずれ、木彫師の道を歩むのである。

 将来の職というものが、生まれる前に定められていることを、人は知らない。
 
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これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「扉が開いた」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “扉が開いた”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(漢字ノ話・五十三次シリーズ)

[お客様]…二組目の二人組の男性のおひとかた
→この日、男性二人組が二組いらっしゃいました(^^)
[お題]…職(しょく)
[創作日]…2011年4月16日(土)
[創作場所]…摩耶山 虹の駅
(摩耶山リュックサックマーケットにて)

※強風のため公式中止となりましたが有志自主開催いたしました♪

生まれる前の就職適性検査、みたいなお話です(笑)
読み返してみると、「ノミやカンナ」といえばまず「大工」が思い浮かぶんじゃないの?と自分につっこみたくなりますがw
そろばんが出てきたりするので時代設定は江戸な感じです。
今だったら、ノートPCとかが出てくるかもですね。

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#3-023「女ノ話」
即興3-23_女

 扉が開いた。
 さっき俺がいくらやっても開かなかったのに、と夫が言い、妻は、仕方ないでしょうと苦笑いした。

 別の家では、ビールの栓が抜けない男が、妻にあけてくれと頼んでいた。男がどうしてもできなかった栓抜きを妻はいとも簡単にしてしまった。

 また別の家では、ライターの火をつけられない男が、娘に点火をたのんでいた。

 とにかくあちこちで、いつもならできることが、できなくなってしまった男がいて、皆、渋々近くにいる女性にたのんでやってもらっていた。
 女は何の問題もなくそれをやりとげるのだ。 

 男たちは、いろいろなことを手伝ってもらうたびに「ありがとう」と伝えた。
 これを言い忘れると、その男はずっと、“できるはずのことができないまま”になってしまうからである。

           * * * * *

 いつからこうなってしまったのかは定かではない。
 町にある魔女が呪いをかけたと言われている。

 年に数回、こんな日が訪れた。
 「ありがとう」の回数が、ある数に達したら、呪いはとけるらしいのだが、それはいつやってくるのやら、である。
 
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「扉が開いた」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “扉が開いた”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(漢字ノ話・五十三次シリーズ)

[お客様]…二人組の男性のもうおひとかた
[お題]…女(おんな・め)
[創作日]…2011年4月16日(土)
[創作場所]…摩耶山 虹の駅
(摩耶山リュックサックマーケットにて)

※強風のため公式中止となりましたが有志自主開催いたしました♪

「女」というお題で、それこそ「女ばかりの村」の話などがさっと思い浮かびましたが、どうにもありきたり。
そこで、女に頼らねばならぬ呪いをかけられた町の男のお話にしてみました。
ブラックのようでそうでないようで。
さて、呪いはいつとけるのでしょうか?(笑)

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#3-022「波ノ話」
即興3-22_波

 扉が開いた。
 中から出てきたのは、初老の男だった。案内されるまま、長い廊下を歩き奥へ進む。

「ではこちらの部屋でお待ち下さい」

 そう言われて通されたのは、窓一つない小さな部屋だった。
 指示されるままに、置いてある椅子に座り、男は待った。

           * * * * *

 占いのようなものと聞いていたので、誰かに何かをたずねられたり、いろいろ話すのかと思っていたが、そんな様子はまるでない。
 たった一つのあかりである行灯の明るさになれてくると、正面にも小さな扉がついていることに気がついた。入ってきたのとは別の扉である。

「扉をあけよ」

 声が突然した。
 頭の中に響いた感じだった。
 あなたの探す人は、その扉の向うにいます。
 また声がひびいた。男は驚いた。

 妹をさがしてここに来たことなど、一言もしゃべっていなかったからである。

 目の前にある小さな扉をおそるおそる開いた。
 扉の向うから、波の音が流れ込んできた。そこは海で、浜辺であった。

           * * * * *

 男が外の世界に足をふみ出すと扉はかき消えた。

 そしてそこに懐かしい顔が立っている。
 男は妹の名を呼んだ。妹は一筋の涙を流した。

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これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「扉が開いた」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “扉が開いた”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(漢字ノ話・五十三次シリーズ)

[お客様]…二人組の男性のおひとかた
[お題]…波(なみ・は)
[創作日]…2011年4月16日(土)
[創作場所]…摩耶山 虹の駅
(摩耶山リュックサックマーケットにて)

※強風のため公式中止となりましたが有志自主開催いたしました♪

扉の向うに、波の音とともに会いたい人が現れました。
設定はどこでもドア的ファンタジーですが、現実でも、心から切に願ったら、こうやって会えるかもしれません。
そんな気持ちで書いてみました。

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即興MENU#3-021「光ノ話」
即興3-21_光

 扉が開いた。よし、外に出るぞ。

 ボクらは、扉のすきまから、次々と向う側へ飛び出していった。
 知らない世界へ、新しい世界へ。

           * * * * *

 郊外にある研究施設では、長期にわたって新しい光エネルギーの開発がすすめられていた。研究の過程で、一つの発光生命体が生み出された。

 配線も必要なく、自らで発光し、しかも自在に浮かせることもできた。
 人工のエコホタルとでもいうシロモノであったが、寿命は半永久的で、これからの照明産業に大きな力となるものではと言われていた。

 ところがあるとき、浮かぶ発光体たちは、小さな意志を持ちはじめた。
 一つ一つは小さな意志だったが、集まるとそれば固い意志となり、やがて自分たちのエネルギーを使って研究室のドアのロックすら解いてしまったのだった。


           * * * * *

 新しい生命体たちは、研究室から解き放たれた。

 自由を得た発光体は、あちこちに消えていった。

 その年、日本のあちこちで、季節はずれのホタルが見られたと、ニュースになったという。

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これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

【作品DATA】

本日の創作メニューは「扉が開いた」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “扉が開いた”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(漢字ノ話・五十三次シリーズ)

[お客様]…常連のTさん(男性)
[お題]…光(ひかり・こう)
[創作日]…2011年4月16日(土)
[創作場所]…摩耶山 虹の駅
(摩耶山リュックサックマーケットにて)

※強風のため公式中止となりましたが有志自主開催いたしました♪

漢字シリーズは全体的に昔話っぽいものや設定が多いのですが、これは珍しくちょっと近未来なお話になっています。
今年の夏のホタルにも、もしかしたらこのコたちが混ざっているかもしれませんよ~。

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#3-020「香ノ話」
即興3-20_香

 扉が開いた。白い光の中に足をゆっくりとふみ入れた。

           * * * * *

 その旅館は、小さな島の山の中腹にあった。
 一日一往復の船しか渡る手段のないその島に、男が行こうと思ったのは、ほんの気まぐれだったが、自然が残る美しい島の景色に、来てみてよかったと思っていた。

 日帰りのつもりだったが、小さな旅館を見つけて、そこに泊まることにしたのだった。
 四部屋しかない宿で、男以外には客はいないらしく、あとの三部屋はがらんとしていた。

 ふらふらと建物の中を見まわっていた男は「香雪の間」という部屋を見つけた。そこだけは扉が閉じられていたのだが、戸のすきまから、かすかによい香りがしてくるのが気になって、男は手をかけた。

           * * * * *

 音もせず、扉が開いた。
 まっ白に光ったように見えたのは気のせいで、中には、白い花がみっしりとつまっていた。
 温室だったのである。
 ユリ、モクレン、ユキヤナギ…季節と関係なくありとあらゆる種の白い花が咲き乱れていた。

           * * * * *

 後に宿の主人に聞いたのは、白い花を香雪と呼ぶのだということだけで、温室のことは、結局わからぬままだった。
 
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お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
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明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

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本日の創作メニューは「扉が開いた」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “扉が開いた”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(漢字ノ話・五十三次シリーズ)

[お客様]…初来店の男性
[お題]…香(かおり・こう)
[創作日]…2011年4月16日(土)
[創作場所]…摩耶山 虹の駅
(摩耶山リュックサックマーケットにて)

※強風のため公式中止となりましたが有志自主開催いたしました♪

春らしい美しい漢字「香」がこの日の最初の作品。
神戸には香雪美術館という施設もありますが、香る雪と書いて、よい香のする白い花をあらわします。
旅館の秘密部屋のような温室で白い花が咲き乱れていたのは一体何故だったのか。
考えた設定が実はあるのですが、それを盛り込むには文字数が足らずなので、謎のままで終わらせておきました♪
いつかそのお話もどこかで書くかもしれません(^^)

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お知らせ、の一歩手前。
さくら
ご近所の桜。

桜もあちこちで満開ですね~♪
春からも変わらず物語を紡いでほっこりを発信していけたらいいなと思います。

摩耶山リュック即興物語屋へのメッセージいただいた方、ありがとうございました~。
4月16日(土)もまた物語屋を開店いたします。
お時間のある方はぜひ山の春に包まれに摩耶山へいらしてくださいね。

「摩耶山へ行こう!行こう!」


それから4月23日(土)には朗読家・甲斐祐子さん主催の「甲斐祐子の本を売る日」に物語屋で参加させていただくことになりました!
会場は南森町の古本屋「メガネヤ」さんです。
ナニスルノ?って部分はまだ絶賛妄想中(笑)な状態ですがw
また決まりましたら告知記事アップしますね!


オマケ。
最近のついったーあいこんはコレ。

twitter icon
@ya_ru(中川紺/ヤールー)



ツイッターでふと思いついて作る小さなお話を【断片物語】と名付けています。
完結してたりしてなかったりあるワンシーンだったりセリフだったりいろいろです。

以下のものは4月5日にツイートしました。
ものすごくものすごく遠回しにですが、私の中では3/11の震災のことを思いながらのお話です。
というか、書いたら結果的にそうなっちゃってたなぁーと自分で思ったのですが。
いろんな人の、たくさんの思いや祈りが、どうかどうか届きますように。

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4/5の【断片物語】

どうしてもあの人に伝えたいことがあるのに、今どこに住んでいるのかを知る術がない。でも手紙を書いた。気持ちをいっぱい詰め込んで。送れない手紙を紙飛行機にして屋上からすっと飛ばした。途端に手紙は白い鳩に変わり、東に向かって飛び去った。あの人に届きますようにと空に祈った。


窓辺に白い鳩がとまっている。足についた白い紙を広げてみて驚いた。懐かしい彼女の文字だ。積年の誤解が氷のようにとけていく。私も手紙を書いた。「ありがとう」の一文字を。託そうとした鳩は真っ白な封筒に姿を変えていた。手紙をおさめて投函した。宛名が無くてもきっと届くはずだ。


なかがわ こん

テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

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