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書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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イチゴ狩りと保険のお話。
2005年に勢いで書いたショートショート(?)を改めて読んだらちょっと笑えたので、こっちにも掲載してみようかと思いましてw

===============

「イチゴ狩り」


「ねえ、まだあ?」

 女が不満そうに言う。もうこれで5回目の「まだあ」だ。
「もうすぐだからさ」
 つとめて穏やかに俺は答える。

「こんな大変だったら、イチゴ狩りになんて行きたいって言うんじゃなかったなあ」
「何言ってるんだよ。この山の向こうのイチゴ畑、ホントにすごいんだぞ。穴場でさ、車道が整備されてないけど、そんなにかからないからさ。めっちゃくちゃウマイやつ食わせてやるって」
「ふーん、そんならしょうがないよねー。あたしもうちょっとがんばる」

 ああ、こいつ、頭悪いやつでよかった、と俺は思う。

 それからさらに十数分進むと、周りの薮はどんどん深くなっていった。
 水の流れる音が聞こえてきた。そろそろだ。
「ねえ、ねえ、イチゴジャムとかつくってみる?」
 女はご機嫌だ。たしかに料理はウマいのだが。

「残念だよ、君のイチゴジャム食べられなくて」
 俺は女の方に向き直ると、間髪入れず、突き飛ばした。
 一瞬、女は何が起こったのか分からないという顔をしたが、すぐに恐怖の表情に変わり、声をあげながら谷底に落ちて行った。

 この岩場に落ちたら助かるまい。
 落ちる寸前、女は「どうして? あたしを選んでくれたんじゃなかったの」という目をしてこちらを見ていた。
そうだ、君を選んだんだ。君を消す方をね。

 周りには人の気配はない。
 あたりまえだ、俺が持っている山なんだから。
 ついでに言うと、イチゴ畑なんか無いよ、こんな山の中に。
 ほんとにおバカだなあ、君は。

 さて。

 携帯を取り出して電波が入っていることを確認する。
 俺は背中のリュックを下ろして、中からパソコンを取り出した。
 死体は当分見つからないにしても、念には念を入れておくべきだろう。
 ここから遠隔操作で自宅の仕掛けを動かす。俺がこの時間帯に自宅にいたというアリバイがいっちょうあがりだ。
 あとは婚約者のマリコに電話でも入れようか。
 片手でパソコンを取り出しながら、もう片方の手で履歴からマリコの番号をプッシュする。

 突然、ポケットの中でバイブレーターが作動して、思わず俺は手にしていたノートパソコンを足下に落としてしまった。
 ガッ、と鈍い音がした。ちょうど大きな岩の角に、ぶつけたらしかった。

 震えたのは、あいつの携帯だった。もしもの場合に助けを呼べないように抜き取っておいたものだ。
 バカなことに、俺はマリコではなくあの女にリダイヤルしてしまったのだった。さすがの俺も、動揺してたらしい。
 あわてて、電話を切って、パソコンを開く。

 パワーボタンを押す俺の手は、じんわりと汗をかいていた。
 急所をやられたのか、パソコンは低いモーター音をあげるだけで、モニターには何も映る気配はなかった。

 こういうのって、保険おりるんだっけ……ぼんやりした頭で、どうでもいいことを考えていた。

(了)
===============

実はこれ、某保険会社が紹介していた次の事故事例に触発されて思わず書いてしまったおハナシです。


 「イチゴ狩りに出かけて、

  山の中でパソコンを出そうとして、

  手を滑らせて落とした」



どんだけレアな事例やねん!
と、もう心の中でツッコミまくり、そのテンションで作品化。
そしたら火サスのノリになってしまいましたww
文はいろいろ雑ですがあえて勢いでそのまま掲載します。

おバカなお話ですみません(笑)
箸休め的に楽しんでいただければ幸いにございます♪
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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

摩耶山の物語屋で3作品
5/21(土)は月イチ恒例の摩耶山リュックサックマーケットにて、いつもの物語屋を出店してきました!
漢字ノ話・五十三次のシリーズも今回で28文字目となり半分を越えました。
旅ならば峠越えしたような感じ?

摩耶山の濃い緑が目に鮮やか。
110521摩耶山_緑


その後、山上は、すごい霧になってテンションあがりました(笑)

110521摩耶山_霧


出店数も200組はいたのでは?というくらいの多さ。
山で食べたモノはコチラ。

物語屋の常連さんでもあるAEGさんの摩耶焼き

110521摩耶山_摩耶焼き


こちらのお店のまめポタ(えんどう豆のポタージュ)。

110521摩耶山_まめポタ

ポタより、見本のカップ麺がふくれてすごいコトになってますw

お代を甘夏でいただいたりもしました。
110521摩耶山_甘夏

今回の書き出しは「どうしても」という言葉で統一してみました。
110521即興看板02

この書き出しが作品の書きやすさに影響するので、決める時に悩みます。

「箱をあけると」「扉が開いた」「土の中」「夜店」「隣の部屋」など具体的な場面が浮かびやすいものは縛りが出る分、はやくあらすじが頭の中でまとまったりします。
でもそのためにお題の漢字とどうしてもうまく結びつけられない時もあります。
逆に「ふわふわ」「春が来た」「知らない人」「どうしても」などは抽象度が高くカバーする範囲が大きいので、自由がある分、イメージをまとめるのに時間がかかることも。
現在進行形の漢字シリーズでは、漢字の持つ複数の意味を加味してストーリーを組み立てるので、書き出しはちょっと抽象的なものをあえて選ぶようにしています。
荷物の中には、毎回「漢和辞典」を忘れずに入れております(笑)

ちなみにいつもは1話100円で原稿用紙でお渡し、なのですが、今回は表紙がついた本スタイルに仕上げる300円コースもご用意。すべて表紙付きでご依頼いただきました。(売上は東北地方太平洋沖地震の義援金にいたしました)

さて、書いたのは3作品です。
実は後半は笛を吹いたりしておりまして、創作ペースがゆったりめでしたw
よろしければぜひぜひどうぞ♪

●即興MENU#3-026「書ノ話」

●即興MENU#3-027「一ノ話」

●即興MENU#3-028「明ノ話」



追伸。
プロフィールを少し加筆しました。
これまで作品が使われたり掲載されたものをいくつかご紹介しています。

ついでに画像も紺色ヤモリに変更です。
title logo yamori

摩耶山リュックサックマーケットの際にはこのヤモリを目印に~。

テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

即興MENU#3-028「明ノ話」
即興3-28_明

 どうしても会ってみたい。
 そう、月は思いました。

 自分と同じ空に、とても明るく輝く太陽に、一度会って話をしたいと、ずっと思っていたのです。

 しかし、昼をあずかる太陽と、夜をあずかる月とは、いつも遠くはなれていて、なかなか近づくことはできません。

 太陽がのぼると朝になり、月がでるのは夜であり、お互いが一緒には、なれず、常に追いかけっこなのです。

 そう、これは、昼にも月が出ることを誰も知らなかった頃のお話。

           * * * * *

 追いつくことができないと月は思い、ではまちぶせをして太陽を待ってみようと、地平にしずまずがんばりました。

 人々は、今夜は夜が長いなと思っていました。
 月がいつまでも沈まないので、夜が明けず明日が来なかったからです。
 人々の困った様子をみて、月はやはり自分のわがままでこんなことをしてはならぬと、山のむこうにそっとしずんでいきました。そしていつもの朝が来ました。

 月のうわさを聞いた太陽は、自分も月に会ってみたくなり、神さまにお願いしてみました。

 それから、日食というものが起こるようになり、その時だけは、太陽と月は重なり、おしゃべりしているということです。
 
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

【作品DATA】

本日の創作メニューは「どうしても」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “どうしても”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(漢字ノ話・五十三次シリーズ)

[お客様]…初来店の女性
[お題]…明(めい・あかるい)
[創作日]…2011年5月21日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
(摩耶山リュックサックマーケットにて)


「明」という漢字を、「日」と「月」に分解してモチーフにしてみました。
もちろんそれだけでなく、「明日」や「夜明け」という意味での「明」も含まれています。
太陽と月のお話。少し昔話のような、童話のような仕上がりになっています。
こういうテイストは個人的には大好きですw
最後のトコロは「日食と月食」と書いてたのですが、よくよく考えたら月食は月に地球の影が映る現象で、ちょっと違うと思い直し、日食だけにしました。
科学的には月と太陽なんてとんでもない距離があるわけですけど、そこはまあ、まだ地球のまわりと太陽がまわってると信じている時代のお話、というくらいに思っていただくと♪

※後半、一ヶ所どうしても「てにをは」がヘンなので、手書きからテキストに起こすにあたって修正させていただきました。ご了承ください。
「今夜は夜は長いな」→「今夜は夜が長いな」

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即興MENU#3-027「一ノ話」
即興3-27_一

「どうしても、無理なんですか」
「仕方ないのだ。これもまた運命なのだろう」

 小さな島国の、小さな城の、小さな会議室で、小さな人たちが、むずかしい顔をつきあわせながら、話し合いをしていた。
 歴史あるその国では、最近不思議な病がはやっていた。
 といっても、人に感染するものではなく、物や植物に異変が起こっていた。

 物がこわれたり、木が枯れたりする現象が次々と起こり、こわれたものと同じ物はなぜか二度と作れず、草木は最後の一本になるまで枯れ続けた。

 国の中のあらゆる物や植物が、最後の一つになるまで病は続き、えらい人々や学者たちは「国が休息に入ろうとしている」と結論を出した。
 長く長く、民のために働いてきた国に、そういう時が来るのは仕方ないと、王は納得し、このことを受け入れるようにおふれを出したのだった。
 
           * * * * *

 国の最後の木に、最後の実が一つだけなった。
 木のまわりに人々は皆あつまり、静かにお礼と別れを告げた。

 国はなくなり、人々は別の国にそれぞれ移住していった。
 後に残った何もない島の、土中深くに眠る小さな種が、芽ぶいて生命をうみ出していくのは、まだずっと未来の話である。
 
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「どうしても」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “どうしても”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(漢字ノ話・五十三次シリーズ)

[お客様]…Tさん(男性)
[お題]…一(いち・ひとつ)
[創作日]…2011年5月21日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
(摩耶山リュックサックマーケットにて)


昔なじみのTさんのご来店。
一番シンプルな漢字「一」をお題にいただきました。
一、というのは、始まりを表す漢字でもあります。
最後の一つになって消えゆく国という寂しい展開ですが、未来の始まりを予感させるラストで少し希望を添えてみました。
「一」はシンプルだけど、ある意味とても深い意味、多彩な意味がある漢字なので、「一ノ話」はいろんなパターンが描けそうな気がします。

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#3-026「書ノ話」
即興3-26_書

 どうしても分からない文字があった。
 蔵の奥から見つかった、古い手紙のことである。

 男のずっとずっと昔の、先祖が書いたものであるらしいのだが、ある文字だけが、分からない。
 その一文字の漢字は、文面のあちらこちらに登場するので、その意味が分からないとどうにも手紙を解読できないのである。

 男は古い古い辞書をひっぱり出してきて調べてみたが、それらしい字は見つからない。それでも、いつの時代かに使われた字であることにちがいないのなら、他の文字にヒントがあるやもしれぬ。

 そして男は、古い辞書を書き写すことをはじめた。
 作業は延々と続いた。今はもう誰も使わないような文字や辞書を読みとくことはかなり大変であった。
 それでも男は何年も、何十年も古い文字を書き続けた。ある一文字の意味を知るために。

           * * * * *

 男を発見したのは古い友人だった。
 その死顔は安らかで、かすかにほほえんでいたという。

 男はついに、文字の意味を悟ったのかもしれない。

 辞書を書き写したものは、数十年後、小さな博物館におさめられたということだ。
 
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「どうしても」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “どうしても”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(漢字ノ話・五十三次シリーズ)

[お客様]…Hさん(男性)
[お題]…書(しょ・かく)
[創作日]…2011年5月21日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
(摩耶山リュックサックマーケットにて)


3月にもご来店いただき、その時にはビブリオバトルという書評合戦に参加させていただきました。
前回は「戦」で、今回はビブリオバトル=「知的書評合戦」の「書」の文字。
ひたすら文字を書くシーンが浮かんできたのでこんなお話になりました。
いつの時代でどこの国かも、あえて分からないような設定です。

そういえば。「かく、で」とご注文を聞いた時に、私の頭の中には「角・格・各…」の文字が並んで「書く」と分かるまでしばし時間がかかりました(笑)
頭の変換クセなんでしょうねぇー。

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おしらせ2つ。
【5/21 摩耶山リュックサックマーケット】

「即興物語屋」を出店いたします。

お天気もよさそうですね!
昼12時頃にオープン予定です。多少前後すると思いますがw
お客さまからいただいた漢字一文字のお題で、ちいさなお話をお作りいたします。
原稿用紙に手書き、オプションで表紙付き、ご注文から15~20分程度でお渡しします。
漢字ノ話・五十三次と銘打って始めたシリーズも25文字まで来ました。
お子さんのお名前の一文字、好きな漢字、自分の名字、今日の気分、などなどいろんなパターンで毎回出題があります。
これから半分どんな漢字お題をいただけるのか楽しみ~!
なお、今回の売上は、東日本大震災の募金にさせていただきます。

===============
日時:5/21(土)11:00~16:00
   ※当日朝7:00の時点での天気予報で兵庫県南部の
   午前中の降水確率が50%以上の場合は中止します。
場所:摩耶山掬星台(まやビューライン星の駅下車)

★飲食物を出品される方は事前申込が必要で、5月の出店申込みはすでに終わっています。
★受付にて「東北地方太平洋沖地震災害救援募金」の募金箱を設置します。神戸市社会福祉協議会を通じて被災地の復興のために活用されます。神戸から被災地へ、出店者、および参加者のみなさまのご協力をお願いいたします。

===============
飲食出店について、交通機関についてなど、
詳しくはコチラをご覧ください。
 ↓
ナダダマ-リュックサックマーケット@摩耶山




【よみラジの時間】

朗読家の甲斐祐子さんと声優の菱田盛之さんによるネットラジオ「よみラジの時間」の第2回放送にて、作品を朗読していただきました。

今回取り上げていただいたのは、2006年にも一度読んでいただいた「彼の苗木」という作品です。
よろしければ聞いてください(^^)/

ゆるくて楽しい放送はこちらのブログから!
  ↓
「よみラジの時間」
ビジョンとお花の第2回

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Twi-Story33 5/11の【断片物語】
「"年寄りにはわからん"なんてセリフで最初から諦めるなんてしたくないの。とにかく一度はちゃんと説明しておしえてちょうだい。わかった?」
カッコイイじゃんキミばあちゃん。
血の繋がりとかこれまでどうでもよかったけど、ばあちゃんの孫であることはちょっとうれしいな。

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Twi-Story32 4/28の【断片物語】その2
おいたの過ぎた娘を叱った翌日のこと。会社の昼休みに読みかけの文庫本を取り出して読んでいた。ラスト数ページを読み進めて、最後のページをめくったところに、鉛筆のたどたどしい字で「ごめんなさい」と書いてある。面と向かって素直に謝れないとこが私そっくり。自然と笑みがこぼれた。

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Twi-Story31 4/28の【断片物語】その1
仕事に使えそうな資料を探して本棚からいろいろひっぱり出していたら、薄い詩集が見つかった。
数年前、古本屋で装丁が気に入り買ってそのままだったもの。
ぱらぱらとめくると未使用のイタリア行き航空券が挟んである。
私のものではないその紙片に込められた誰かの物語を、垣間見た気がした。

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Twi-Story30 3/24の【断片物語】その2
「それがね、おぼえてるのは声だけなの。あれだけ一緒にいたのに、顔なんてもうかなりおぼろげで。でも声だけは今でもはっきりおぼえてるの。忘れたことないの。これまで出会った誰よりも一番好きな声だったから」

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Twi-Story29 3/24の【断片物語】その1
「強い人なんていないよ。みんな見えないところで泣いたりしてるんだ。でも泣いた分だけちょっと強くなってるのかもしれない」

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Twi-Story28 3/16の【断片物語】
「先生、最近、尾てい骨のあたりがむずむずするんじゃが変な病気じゃろか」

「どれ、診せてください。ああ、これは病気じゃないですよ。尻尾が生える前兆です」

「ええっ!?」

「スフィンクスのなぞなぞにあるじゃないですか、年をとったら3本足になるって。あれは杖じゃなくて尻尾」

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Twi-Story27 3/11の【断片物語】
その部屋に決めたのは最終的には妻の一言だった。彼女は古めかしいタイル貼りのお風呂場を見て「懐かしい。子供の頃行った銭湯みたいで素敵。ここにする」とすっかり気に入ってしまったのだ。

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Twi-Story26 3/9の【断片物語】その5
「救急車の音って、昼聞くのと夜聞くとのでは感じ方が全然違う。夜は、気持ちがぞわぞわってなる」彼女はそう言って僕の手をきゅっと握る。何を思い出しているのかはだいたい想像がついた。大丈夫だよという意味を込めてきゅっと握り返した。夜のサイレンは次第に遠のいていった。

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Twi-Story25 3/9の【断片物語】その4
引き出しの底から小さな赤い封筒が出てきた。中にはまっさらのメッセージカード。思い出した。ずっと昔、好きだった人にバレンタインチョコを送る時に使う予定だったもの。でも直前に不実な姿を見てしまい、すっかり熱が冷めたのだった。カードはゴミ箱に贈った。明日はゴミの日だ。

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Twi-Story24 3/9の【断片物語】その3
「エネルギーが足りなくなったらベランダに出ることにしてるの。光合成ってヒトにも有効なんだと思うよ」

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Twi-Story23 3/9の【断片物語】その2
「こうなる気はしてた。予感か、想像か、もしかしたら報いなのかもしれないけれど、でも受け入れる心づもりはすでに出来ていたみたいだ」

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Twi-Story22 3/9の【断片物語】その1
「なんで電話してるんだろうね。びっくりしたよね。でも一番最初に誰に報告しようと思ったら勝手に番号選んでた。たぶんあれだね。好きってことだと思う。自分でも今はっきり分かったよ」

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「よみラジの時間」で作品朗読!
2006年11月に、朗読イベントで作品を読んでいただく機会がありました。
その時の記録や日記はコチラコチラ


そのきっかけをくださり、また読み手の一人でもあった朗読家の甲斐祐子さんが、声優の菱田盛之さんとスタートしたネットラジオがあります。
スタートは今年4月末…いや5月初かな?(4/27に予告編、第1回放送5月です)

その名も「よみラジの時間」
http://yomiradi.seesaa.net/

  cafeで朗読「本読みの時間」がラジオになりました。
  甲斐祐子・菱田盛之と多彩な?ゲストで、
  読んだりしゃべったり…をお届けします。

というこのネットラジオ。

記念すべき第一回放送で、私がツイッターでつぶやいた小さな小さな物語を2つ朗読していただきました♪わーい♪

ライブ感とゆるゆる感が織り混ざった、ゆる楽しいラジオです。
よろしければ聞いてください(^^)/

使われた作品のことも含め、放送はこちらのブログから!
  ↓
「よみラジの時間」
右往左往の『よみラジ』出港!

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Twi-Story21「王子と姫」
「王子と姫」01:むかしむかし、闇にさらわれた王子様とお姫様がいました。二人は闇の悪魔に、見る力・聞く力・話す力・におう力・肌で感じる力の5つの力を失う呪いをかけられ、まっ暗闇の中に閉じ込められ恐怖にふるえていました。

「王子と姫」02:悪魔は二人から取り上げた力のうち、一人分の力を食べてしまったので、闇に残されたのは残り一人分の力だけでした。手を伸ばせば、それらを手に取ることはできましたが、力はお互いに贈り合わなければ、体に戻すことはできません。

「王子と姫」03:自分で手にしたものを相手に贈り、相手の体に戻るという仕組みでした。まずはお姫様が手を伸ばし、見る力を王子に贈りました。たちまち王子の瞳には視力が戻り、目の前に現れた美しい姫の姿に驚きながらも、恐怖でいっぱいだった心が慰められました。

「王子と姫」04:次に王子様が、姫に話す力を贈りました。姫はすぐに聞く力を王子に贈り、彼女の声は彼に届くようになりました。とはいえ会話は難しかったので、少しでも気持ちが明るくなるようにと、姫は知っている中で一番楽しい歌を歌いました。

「王子と姫」05:素敵な歌を歌ってくれたお礼にと、王子は残りのにおう力と肌で感じる力の二つを、迷わず姫に贈りました。そうして姫は王子の存在をにおいや肌でしっかりと感じることができるようになり、目は見えなくとも心強く思うのでした。

「王子と姫」06:姫は自分の名前を声で伝え、王子は姫の手の平に文字を書いて伝えました。まずはここから出ることを考えましょうと、王子が目をこらして闇の中を見てみると、何やら見覚えのない力がまだあと一つ、隅っこに落ちています。

「王子と姫」07:王子がそっと手を伸ばすと、それは第六感として王子に備わり、そのおかげで、闇の世界から抜け出す道を知る事ができました。元の世界に戻ってから、二人は改めてお互いの身分を明かしてみますと、長年敵対している国同士であったことが分かりました。

「王子と姫」08:しかし二人の心はしっかりと結ばれいたので、姫は王子のもとへ嫁ぎ、王と妃となりました。今まで誰も帰ってこれなかった闇の世界から無事に帰還した二人は、国民の尊敬と信頼を得て、力を合わせて国を治め、二つの国はやがて一つになりました。

「王子と姫」09:王は声を発せずにおいや暑さ寒さを感じることができませんでしたし、妃は目が見えず耳も聞こえませんでしたが、お互いに足りない部分を助け合うことで乗り越えました。それに王には素晴らしい第六感も備わっていたのです。

「王子と姫」10:やがて二人の間には小さな命が宿り、まもなく愛らしい双子の王子と姫が生まれました。二人の赤ん坊はそれぞれ手に何か握っており、小さな王子の手の中には、王の話す力とにおう力と肌で感じる力が、小さな姫の手の中には、妃の見る力と聞く力が、入っていました。

「王子と姫」11:力は元の持ち主に戻り、妃はようやく王の姿と声を知ることができ、王も妃の滑らかな肌やよい香を感じることができるようになりました。国民は王子と姫の誕生と、王と妃への呪いがすべて解けたことを、大いに喜び、国はその後末永く栄えたそうです。

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Twi-Story20「ひつじとやもり」
仲良しのひつじとやもりがいました。寒い寒い冬のこと。崖の上に生えた草に届かないひつじのためにやもりが取ってあげました。凍えるやもりをひつじは羊毛の中に入れてあげました。春になりました。二匹は満開の桜の木の下でピクニック。この木を二匹の木にして大切にしましたとさ。

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Twi-Story19 4/5の【断片物語】
どうしてもあの人に伝えたいことがあるのに、今どこに住んでいるのかを知る術がない。でも手紙を書いた。気持ちをいっぱい詰め込んで。送れない手紙を紙飛行機にして屋上からすっと飛ばした。途端に手紙は白い鳩に変わり、東に向かって飛び去った。あの人に届きますようにと空に祈った。

窓辺に白い鳩がとまっている。足についた白い紙を広げてみて驚いた。懐かしい彼女の文字だ。積年の誤解が氷のようにとけていく。私も手紙を書いた。「ありがとう」の一文字を。託そうとした鳩は真っ白な封筒に姿を変えていた。手紙をおさめて投函した。宛名が無くてもきっと届くはずだ。


(再掲載)

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Twi-Story18「爪切り」
「やすり使わんと爪痛まへん?」とユミコ。「そうなんやけど、マルコがいた頃の癖が抜けへんわ、やっぱり」飼い猫のマルコは13歳まで生きたロシアンブルー。爪切りのぱちんぱちんという音が好きな変わった猫だった。じっと私の手元を見ていた緑の丸い瞳を思い出して私は今夜も爪を切る。

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Twi-Story17「洋館」
「洋館」01:その洋館がいつ建てられたのかはよく知らない。まだ幼稚園くらいの頃の僕の記憶では、小さな女の子が住んでいたはずだ。肩より少し長い髪をさらさらを揺らして、僕より少し年下だったのではあるまいか。でもその後、幼稚園や学校でその子を見ることは一度も無かった。

「洋館」02:僕が小学生の頃だったか、洋館に入っていくとてもきれいな女性を見かけたことがあった。年齢的にはあの小さな女の子の母親くらいなのかもしれないが、あの子を連れているところを見かけたことは無い。もしかして交通事故か何かで亡くなったのだろうか、と推測したりした。

「洋館」03:中学、高校くらいになると、近所のことにもあまり興味が無くなったし、そもそも洋館の前の道を通る用事もなかったので、次第に僕は洋館のことを忘れていった。一年に一度くらい、夢に昔みかけた小さな女の子が出てきて、ああそういえば、なんて思うくらいだった。

「洋館」04:地方の大学に進学してから下宿生活が始まった。サッカー部の練習も勉強も友達と遊ぶのも、全てに忙しくて僕は年に一度くらいしか帰省しなかったが、帰省した時に一度だけ、洋館からおばあさんが出てくるのを見かけた。そうこうするうちに、僕は二十歳の年を迎えたのであった。

「洋館」05:成人式の帰り道である。適当な寄り道をしていたら見覚えのある道に来ていた。洋館の通りである。門からおばあさんが姿を現した。以前見た時よりもずいぶんと腰が曲がり、頭が地面に着くのではと思うほどだ。ゆっくり歩いていた老婆は、僕のそばで突然前のめりになった。

「洋館」06:わっ。声にならない声をあげ、とっさに手を差しだすことも出来ないでいた僕の前で、おばあさんはくるりと見事なでんぐり返りをした。そして信じられないことに起き上がったその姿は老婆ではなく昔見たあの幼い少女である。少女はこちらを見てほほ笑むと洋館へ入っていった。(終)

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