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書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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即興MENU#特別編「山上のカレー」
即興3-特別編_カレー
(2011.6.18 雨の摩耶山上で食したカレー)


 ふと、近所の山に散歩に出かけたのだった。

           * * * * *

 山上のあずまやで、のんびりとボーッとしていると、ほどなく数人の若者グループがやってきた。小雨がふってきたので、皆雨やどりである。

 彼らはてきぱきと慣れた手つきで鍋やら何やらを出すと、わいわいとおしゃべりに花を咲かせつつ食事の準備をはじめた。

 しばらくすると食欲を刺激する香りが鼻先にただよってきた。
 カレーである。

 あぁ、いいなぁと思っていたのが通じたのかどうか、分からないが若者のうちの一人が、よろしければいかがですかと、一杯のカレーをおすそわけしてくれた。

 下ごしらえを入念にしてきたような深い味わいのカレーである。
 うまい、と思って口に運んでいると、一羽のすずめが物欲しそうに近寄って来た。

 カレー味を好むのかどうか分からぬまま、ほんのり黄色い飯粒をやるとせっせと食べる。
 そのうちにすずめの羽根の色がだんだんと黄色に染まりはじめ、最後には黄色いカナリアとなって、一声鳴いて飛び立っていった。

           * * * * *

 気づけば若者の姿もない。

 雨ふる山上のあずまやで、私はただ一人、ぼんやりと座っていた。
 
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

「今回は特別編」

[お客様]…無し(自主創作)
[お題]…カレー
[創作日]…2011年6月18日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台


6月の摩耶山リュックサックマーケットは、公式には中止となりましたが、山に行ってみると、十組程度が自主リュックを楽しんでいたので私もまったりとその雰囲気に混ざってきました。

110618摩耶山_雨のあずまや

ショウザエモンのはんこやさんもいらっしゃってたので、ここぞとばかりに

「ヤモリのはんこ」を注文!

物語屋・紺の目印「本の上のヤモリ」のはんこをそのうちお披露目できると思います♪


まあ、それ以外では、カレー食べたり、鶏食べたり、ワイン飲んだりしていたわけですが…普通にピクニックですね、ってそれが摩耶山リュックの醍醐味なんですけどね(笑)

この分だと物語屋は閑古鳥だろうと思い、はやめに片付けに入りましたが、その前にせっかくなので、山の上で自主創作。
「お昼に食べたネパール風カレー」と「雨やどりにきていた雀たち(←ご飯粒をあげました♪)」の情景からこんなお話を書きました。
無水で煮込んだというカレーは美味しかった!ごちそうさまでした!
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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#特別編「秘密」
即興3-特別編_秘密

 幼稚園でちょっとした遊びがはやっていた。
 名付けるのならば「内緒ごっこ」あるいは「秘密ごっこ」というものだろうか。

「ねぇねぇ、内緒だよ、わたしね…」

「あのね、実はボクね…」

 子供たちは二人ですみっこにいってひそひそと耳打ちをする。
 小さな声で、でも何だかとても楽しそうにひそひそと。

 新任のかずみ先生は、そんな園児たちをほほえましく見ていた。
 よくよく聞いていると「わたし、羽根が生えててとべるんだよ」とか「ボクね毒の牙があるんだ。悪いやつにはがぶーってかみついてやるんだ」と、どれも作り話の秘密ばかり。

           * * * * *

 でもある時、かずみ先生はどんでもないものを見てしまったのだった。

「私、もう一つ目があるの」

 そう言った女の子が相手の男の子に、前髪をあげておでこを見せた。
 そこには、目玉がひとつ、ぎょろりと光っていた。

 かずみ先生は動けなくなった。
 まさか作り話が、実は本当のことだなんて。

           * * * * *

「かずみせんせー」

 背後から突然呼ばれた。
 ふりかえると、受け持ちの園児が3人立っていた。

「せんせいのひみつ、しってるよ。せんせいは人魚なんでしょう?」

 えっ、と思って彼らを見つめる。

 足にふと違和感を感じて、視線をおとすと、きらきらとしたウロコが生えているところだった。
 
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これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

「今回は特別編」

[お客様]…某氏
[お題]…秘密
[依頼日]…某日
[執筆場所]…某所


秘密…なだけに、DATAもちょっと秘密モードw
詳細は来週に追記いたします♪


==========2011.6.28追記==========

[お客様]…甲斐祐子さん
[お題]…秘密
[依頼日]…2011年6月20日(月)
[執筆場所]…「よみラジの時間」収録スタジオ


ある朝、メールで届いたお題「秘密」…。
ひみつ・ひみつ・ひみつ…とぐるぐると考えていたら、ナイショ話をする園児たちの姿が浮かんで、何かトンデモナイお話になってしまいました(笑)

いろいろ謎が多い話ですが、なんで?なんで?の部分は読み手の方が想像して楽しんでいただけますと幸いです。

かずみ先生の結末は、他のパターンもあるのですが(人魚になるのには変わりませんがw)、それもまたいつか書くかもしれません。ふふふふ。

おっと、肝心なことを忘れておりました。
このお話は、朗読家・甲斐祐子さんと声優・菱田盛之さんによるネットラジオ(ポッドキャスト)の
「よみラジの時間」のための即興書き下ろし作品です。


ゲストに呼んでいただくことになった日の朝、甲斐さんからメールでお題が届きました。
移動の電車で骨格を組み立て、収録準備中のスタジオでペン持ってちみちみと書きました。
もちろん、放送の中で朗読していただいています!
よろしければ聞いてくださいね~♪(私もごにょごにょとしゃべっているのですがそのへんはスルーしてくだされば。w)

「秘密」と発想のvol.5:よみラジの時間
http://yomiradi.seesaa.net/article/212096754.html


※原稿の写真に写り込んでいるアノ妖怪。収録スタジオにたくさんいたので登場していただいたのです♪

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