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書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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即興MENU#3-031「甲ノ話」
即興3-31_甲

 セミの声だった、明らかに。
 ジィジィという鳴き声は、明らかにセミの声なのだ。

 しかしその音を発している虫は、どう見てもシオカラトンボなのだった。

 異変はそれだけではなかった。
 蝶はヒグラシの鳴き声を発してとんでいたし、アリの行列はスズムシのリンリンという声で鳴いていた。
 セミの姿をした本物のセミは、セミの本来の声では鳴かなかった。

           * * * * *

 朝、一人の男が気づいたこの不思議な現象は、実は日本中で起こっていると分かり、またたく間に大ニュースとなった。
 昆虫学者がひっぱり出されて来たが、誰一人説明できる者はいなかった。

 不穏な空気に包まれたまま、夜をむかえ、ある森の大木に住む甲虫が、ひそかに、そしておごそかに、人間の声を発した。

「もう、いいだろう。おわりにするぞ」

           * * * * *

 翌朝、セミはセミの声で鳴き、アリが鳴いたりすることなどは、もうなかった。
 森の甲虫がしゃべったりもしない。

 鳴かない虫もたまには鳴いてみたかったんじゃないかな、とどこかで少年がぽつりと言った。
 
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

【作品DATA】

本日の創作メニューは「セミの声」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “セミの声”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(漢字ノ話・五十三次シリーズ)

[お客様]…回文屋さんの奥様
[お題]…甲(かぶと・こう)
[創作日]…2011年8月20日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台


※摩耶山リュックサックマーケットは雨天で公式中止となりました。
 が、自主リュックで集まったメンバーでまったり楽しみました♪

「かぶとのはなし」と読みます。
「偶ノ話」をオーダーされた回文屋さん・アリクシさんの奥様からのご注文。
「カブトという字で」と最初にオーダーをお受けした時、私の頭には難しい方の字(兜)が浮かんで、思わず携帯で字を検索してしまったのですが(笑)、実は鶴甲のカブトということでした。甲虫(カブトムシ)のカブトですね。

肝心のカブトムシはさほど登場しませんが、この不可思議な現象を仕切っているらしいという重要なポジションについてもらいました。
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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#3-030「偶ノ話」
即興3-30_偶

 セミの声が聞き分けられるようになった。
 といっても、種類に詳しくなったというわけではない。

 たくさんのセミが、みんみん、じんじん、じぃじぃと、いっぺんに鳴いていても、一匹一匹の鳴き声が聞きわけられるようになった、というわけ。
 何匹鳴いてるのかが、分かるのだ。

           * * * * *

 きっかけはおそらくあれだろう、と思う出来事があるにはあるのだが、あまりに非科学的すぎて、人に話すのもためらわれる。

 自転車でふらりと散歩していた時に、前から飛んできたセミにたまたまぶつかってしまったというだけ。
 ただし、そのセミは全身が真っ白の、見たこともない種類だったのだけど。

           * * * * *

 声を聞き分けられても、別に大して何の役にも立たなかった。
 時々、適当に選んだ一匹の鳴き声に集中してみて、そのみんみんの声を数えたりする。四回だけだったり、三十八回だったり、時には百回鳴き続けるものもいた。

 そして夏も終わる頃、私は一つの発見をした。
 どのセミも、続けて鳴く回数は、必ず偶数なのだ。

 しかしこの発見、一体どうしたらいいのか、私はまだもてあましているのである。
 
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これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「セミの声」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “セミの声”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(漢字ノ話・五十三次シリーズ)

[お客様]…アリさん(回文屋さん)
[お題]…偶(ぐう・たまたま)
[創作日]…2011年8月20日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台


※摩耶山リュックサックマーケットは雨天で公式中止となりました。
 が、自主リュックで集まったメンバーでまったり楽しみました♪


7月のリュックで回文を作っていただいた回文屋のアリクシさんからお題をいただきました。回文作りと即興掌編作り、創作の思考過程では通じるものがいろいろあるなぁと感じています。

「偶」の字は永遠のテーマであるとか。
「たまたま」と「偶数」の二つの意味を盛り込んでお話にしました。

先日の様子は、ブログにも書いてくださっています♪
回文の返歌までいただいて(嬉)、その歌も載っていますので、よろしければぜひのぞいてみてくださいね!
 ↓
回文堂@リュック #2 2011/8/20
http://biblioteca88.blog69.fc2.com/blog-entry-372.html

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

摩耶山リュックと写真展と
更新滞り気味ですみません~。


先日(8/14)、神戸・元町のco-fuqueカフェで開催されていた「写真展・摩耶山リュックサックマーケットの人」をのぞきにいってまいりました。

写真展チラシ


摩耶山リュックに来ている人出店している人々の写真がずらり。
いろんな季節のいろんな時のいろんな人々。
壁に並ぶ写真、アルバムにおさめられた写真。


冷たくて美味しいアイスティーをいただきながら、リュックのゆるやかな雰囲気を写真で楽しませてもらいました。

なんだろう。

優しい人々の表情としぐさ。
どこか懐かしい昭和の空気を感じました。

物語屋な私も、数枚の写真におさめていただいていました♪
7月に浴衣で山を訪れた時のものや、冬の装備の時のもの、などなど。
もちろん、知り合いの出店者&お客さんなど見知った顔もあちこちに。

またやってほしいな~と思いました♪


さて、明日は8月の摩耶山リュックサックマーケット。
夏場のトワイライトリュックで、15時~19時の開催です。

15時半くらいを目指して「即興物語屋」を出店する予定です。
ギリギリな告知でアレですが(^^;)、また山でお会いいたしましょう~。

テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

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