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書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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即興MENU#4-03「うなぎ」
うなぎ


「白いってどういうことだ?」
「いやだからさ、自分の目で見てみろよ」

 漁師たちはざわざわひそひそと話している。
 しかし実際に目の前に出されると、うっと言葉を失う。

 水そうの中には、真っ白な、うなぎが、ぬるりとおよいでいるのだった。

           * * * * *

「さて、どうするよ」
「どうするって、白いうなぎなんぞ見たことねぇよ。お前、こいつをさばいてみるか?」
「冗談じゃねぇよ。白蛇様みたいに神様の使いだったらどうするんだよ。とんでもない天罰が下るに違いねぇ」

 その思いは、どの漁師も同じである。
 信心深いこの村の者に、白いうなぎは何となく恐れおおいものに感じられた。

 その後、白うなぎは放されたが、以降、とってとっても、白いうなぎばかり。
 村は、うなぎをとることをやめてしまった。

           * * * * *

 深い深い水底で、うなぎたちがささやきあっている。

「ほら、すごいだろう。白いだけでやつらにもうつかまらない」
「ほんとうだ。これからはこいつを着ておよぐとするか」

 かたわらには、脱ぎすてられた白い皮が、何枚も何枚も、ゆらゆらとゆれている。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「白」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “白”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(食卓五十音シリーズ)

[お客様]…常連のTさん(男性)
[お題]…うなぎ
[創作日]…2012年7月21日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
(摩耶山リュックサックマーケットにて)


美味しいお題をいただいたけど、全然美味しくない話になったなぁという感じですね(笑)
白い皮を着たうなぎ……ムーミンのニョロニョロみたいなものかもw
そういえば、深海魚にはたしか白いメクラウナギなどもいましたが、あれももしや皮を着て……(違っw)
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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#4-02「カラピンチャ」
カラピンチャ


 白くてごつごつとした姿が、頭の中にぼやんと浮かんできた。
 両手にあまるくらいの大きさで、丸っこくて、ツブツブ、いや、トゲトゲで……周りには緑の葉が茂っている。

「白ゴーヤ、きれいだなぁ」

 ふと口に出して言ってみる。
 言ってから、自分の口の中に、いっぱいものが入ったままだったことに気がつく。
 そうだ、私は今、白ゴーヤのサラダを食べていたのだ。

           * * * * *

 食べたものの材料の姿が、頭の中に映像として浮かんできてしまう、というよく分からない能力を持つ私は、こうやっていろんな野菜の姿をかみしめながら、食事をすることになる。

 幸い、動物性のものはイメージが浮かばない。
 これが見えてしまったら、生前の牛や豚の姿が分かるわけで、きっと肉を食べられなくなっていただろう。

 知らない料理を食べるのは、いつも楽しい。

 今日はスリランカカレーの店に入ってみた。
 そして一口、二口食べて、思わず店の人に聞いてしまった。

 このカレーに入ってるスパイスの名前、おしえて下さいませんか、と。

 そのスパイス……カラピンチャという植物の、姿形を気に入ってしまった私は、今、鉢植えで大切にそれを育てている。

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これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「白」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “白”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(食卓五十音シリーズ)

[お客様]…カラピンチャのご主人
[お題]…カラピンチャ
[創作日]…2012年7月21日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
(摩耶山リュックサックマーケットにて)


先の「マトンカレー」をお題にいただいた女性の、ご主人からのお題!
ご夫婦でお買い上げ♪です
カラピンチャというまだ日本人には聞き慣れない植物。
スリランカカレースパイスとしては欠かせないものだそう。
観賞用で育てる人もいるんですよ〜というコネタを伺ったので、それをスパイスにしてお話をひとつ。
全体的な設定はだいぶぶっとんだ感じですけど(笑)

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

即興MENU#4-01「マトンカレー」
マトンカレー

 白いシャツが、ぱりっとした白いシャツが、とても似合う人だった。

 その白シャツに惚れてしまったといってもいいくらいに、彼女と白いシャツはぴったりと合っていたのだ。

 公園で一人でお昼を食べているところを見ると、おそらく近くの会社で働いているのだろうと想像できたが、それ以上のことはなかなか分からなかった。
 なのでボクも時々、公園ランチをして、顔を合わせてみたりして、少しずつ、ほんの少しずつ、距離を縮めていった。

           * * * * *

 ある日、ボクは勇気を出して彼女をランチに誘ってみた。
 近くのおすすめの店で、いかがですか、と。

 困ったような顔の彼女にことわられながら、しまった、と思う。
 距離が近づいたと思ったのは自分の都合のいい思い込みだったのだ、と。

 だから翌日、彼女の方から声をかけられて、びっくりした。

「昨日は、その、お弁当持ってたし、それに、シャツ汚したらどうしようとか思ってしまって。今日は大丈夫です。いかがですか」

 ボクらは並んでカレー屋へ入る。
 彼女のシャツは濃紺で、それもとても似合っていた。

「私、本日のカレーで」

 彼女は言う。

 本日のカレーは、マトンカレーである。
 ボクももちろん、同じものにした。

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これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「白」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “白”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(食卓五十音シリーズ)

[お客様]…カラピンチャの奥さん
[お題]…マトンカレー
[創作日]…2012年7月21日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
(摩耶山リュックサックマーケットにて)


このシリーズ最初のお題は、スリランカカレー店・カラピンチャの奥さんから。この後、マスターであるダンナさまからもお題いただきましたw
マトンとは、なかなかマニアックなメニューで素敵です♪
いつもはヘンな生きものや設定が飛び交う即興物語ですが、久しぶり?にちょっと恋のさわやか話にしてみました〜。

テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

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