
「隣の部屋、ちょっとうるさすぎないか?」
残っていたビールを飲み干すと、一人の男が言った。
「店員を呼んで注意してもらうか? でもまあそこまで大げさにするのもなぁ」
もう一人の男が言うのも、もっともだった。
居酒屋の個室なので、隣とはうすい壁一枚へだてているだけである。防音効果はほとんど望めない。しかし隣の個室の若者のグループは、そこまで大さわぎしていたわけでもない。よくあるくらいの盛りあがり方だ。
それが二人の男に気になるのは、二人は、若くして亡くなった友人の法事帰りだったからだろう。
* * * * *
男のうちの一人が、トイレに立つついでに、隣の様子をのぞくと、そこからもちょうど一人の若い男が席を立って出てくるところだった。相手のグループは男女五人らしい。
はからずもその若い男と同時にトイレに行くことになった男は、酔いの勢いで、相手の素性をたずねてしまった。
若い男は楽しげに、自分たちが大学で仲のいいグループで、来月無事に卒業できることを祝って飲んでいる、と答えた。
「それは……おめでとう! いつまでも仲良くやってくれよ」
男からはそんな言葉が出て、部屋に戻ると、二人で相談して、隣のグループにビールを差しいれた。
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これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】
本日の創作メニューは「隣の部屋」
お客さまの選んだ材料で、
隣の部屋にまつわる短いお話を
お作りします。
それは、
今日限りの、小さな物語。
[お客様]…卒業間近の大学生
[お題]…卒業
[創作日]…2008年10月18日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
(摩耶山リュックサックマーケットにて)
春に卒業を控えた、仲良し3人組で出店していた大学生の女のコからのお題です。
卒業おめでとうございます、の意味を込めて、最後はちょっといい雰囲気で終わる話にしたいな、と思い、作ってみました。
友を偲んで飲んでいたオジサンは、仲良しの若者グループに昔の自分たちを見たのかもしれません。
テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

