書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
即興MENU#3-048「夫ノ話」
即興3-48_夫

 めがねを読書用のものにとりかえて、夫のいつもの夜の時間がはじまる。
 好きな本を読みはじめると、もう何を話しかけてもダメなのは、長年のつきあいで知っている。だから私は私なりの、好きな時間をすごす。

           * * * * *

 世の中の結婚のシステムが大きく変わったのは、もうずいぶん昔のことらしい。
 パートナーの選択権は、女性にのみにあり、長い年月を経て女性の直感力はかなり高まり、うまくいかない相手を選ぶことはまずほとんどない。

 もっとも、それまでにあらゆる情報によってコンピューターがよりよい相手を適切に絞りこんでいてくれるのだが。

 登録する時に、最も重視される情報は味覚である。
 どんな味のものを食べて育ってきたか、何の料理が好きか、こと細かにアンケートにこたえるのだ。
 食べ物、というのは、人の営みの根底にあるものだから、そこが合えばたいていのことは何とかうまくまわるというのだ。

 たしかにそうらしく、私も夫とのケンカの仲直りは、おいしいものを食べること。

           * * * * *

「ところで、オレを選んだ決め手って何だったの?」

 夫が思いついたかのように聞いてくる。

「そうねぇ。めがねをかけた横顔に、ピンときたのかな」

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

【作品DATA】

本日の創作メニューは「めがね」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “めがね”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(漢字ノ話・五十三次シリーズ)

[お客様]…Sさん(女性)
[お題]…夫(おっと・ふ)
[創作日]…2012年5月19日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
(摩耶山リュックサックマーケットにて)


結婚30周年を記念して、ご主人に贈られるという「夫」の話。
Sさんはとっても素敵なご夫婦で、そして食べ物へのこだわりやセンスも素敵な方。
そんなところからイメージしながら、でもちょっと近未来?な設定も盛り込んでみました。
ご主人のご感想、ぜひ今度聞かせてくださいね。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。