書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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即興MENU#3-052「真ノ話」
即興3-52_真

 めがねをかけていたら本当、かけていなかったらうそ。

 でもドアをあけて入ってきたお客さんは、めがねをかけた紳士だった。

「なし。今のはなし」

 私はそうつぶやいて、ケイタイをにらみつける。
 アイスティーの氷はすっかり溶けてしまっていた。
 どのくらいこのカフェにいるんだろう。

           * * * * *

 子供だったら本当で、大人だったらうそ。

 カランと店のドアから入ってきたのは、小さな女の子で、そのあとで母親らしき女性が続いた。
 
「なし。今のもなし。だって、だってこんなの本当のはずないもん」

 ケイタイのメール画面には、彼からの別れの言葉。
 それをどうしても信じたくなくて、つまらないジンクス遊びをしては、一人で落ちこんでいるのだった。
 確率の高そうな方を、自分の希望する項目にしてるのに、ことごとくアテが外れてしまう。

 ふぅ、とため息をつくと、ヤケになってこう願ってみた。

           * * * * *

 次に入ってくるのが、女の人だったら、これまでのことは全て小説の中のつくり話!

 ドアが開く。

 入ってきたのは女の人だ。

 途端に願いは真実となり、すべては小説となった。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「めがね」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “めがね”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(漢字ノ話・五十三次シリーズ)

[お客様]…常連Tさん(男性)
[お題]…真(まこと・しん)
[創作日]…2012年5月19日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
(摩耶山リュックサックマーケットにて)


嘘からでたまこと、と言いますよね。
勝手なジンクスで真実と嘘を混ぜっかえしていたために、最後はちょっと神様にお仕置きされてしまったかのような主人公。
小説の中で、小説になった、という複雑?なオチで終わってみましたがいかがでしたでしょう?
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