書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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即興MENU#3-053「終ノ話」


 物語を読み終えた私は、
 ぱたん、とその手帳をとじる。
 おや、と思う。
 古本屋で見つけた小さな手帳だったはずのものは、
 一冊の辞書に姿を変えていた。

 「漢和辞典」

 私が読んでいた数々の物語は、
 いったいぜんたい
 どこに消えてしまったのだろうか。

 いや、違う。
 物語は、この辞書の中にあるようだ。
 手に伝わってくるその形容しがたい
 複雑で面白い感覚。

 再びページを開こうとして、
 手を止める。

 次に読むべき者は、
 私ではないようだ。

 本棚にそっと辞書をさしこむ。
 物語を読む人が、また訪れた時に
 この辞書は開かれるに違いない。

 さようなら。

 古びた辞書の背表紙に
 そう告げて、
 私は古本屋を後にした。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)

長らく即興MENUの第3シリーズにおつきあいいただきありがとうございました。
お題を漢字一文字でいただく「漢字ノ話・五十三次」も、
「終ノ話」=エピローグを迎えました。
2010年10月からスタートして、約1年半かけてゴールです。

プロローグの「始ノ話」はこちらです↓
http://kswords.blog76.fc2.com/blog-entry-383.html


旅先で聞いた不思議な伝承や民話やうわさ話をより集めたようなイメージで紡いできたこの物語たち、漢字の持ついろいろな意味とともに楽しんでいただけましたなら幸いです。


  摩耶山の上で

  物語をお買い上げいただきました

  たくさんのお客様に、

  心より御礼申し上げます。



始と終は、最初から決めていたお題の漢字。
そしてこれらに51のお題をいただいて五十三次完成です。
みなさまのお題のおかげで、最後までシリーズをつなぐことができました。

次回の即興物語屋はどんなテーマでいくのか、実はまだ全く考えていません。
お客様と言葉の面白いコラボレーションができるようなテーマを何かお持ちしたいと思います。

また、摩耶山でお会いしましょう!

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