書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
即興MENU#4-04「神戸牛」
神戸牛

 白髪を見つけた。

 おっと、これはいけない。と、オレはぷつんとそいつを引き抜く。
 まだ見かけは十七歳くらいなのだ。こんなに白い毛があるのは似合わないだろう、しかもまゆ毛に。

 鏡を見ながら、服をえらぶ。
 ちゃんと十代に見えるようにしなければ。

 つい最近まで、八十三の年寄りの体に入っていたもんだから、センスがついていかないのだ。

           * * * * *

 オレは実体をもたない。
 食べ物に執着を残して死んだせいで、いろんな人の体にのりうつれる体質になってしまったのだ。
 こんな霊もめずらしいかもしれない。

 死んでなければ、もう三百二十五歳になるはずだ。そりゃ白髪もうっかり出るよな、と思う。

           * * * * *

 さて、そろそろホテルの部屋を出るか。
 オレは全国をまわりながらあらゆるうまいものを、食べてまわっている。

 金はどうしてるのかって?

 そこはあまりくわしくは言えないが、ちょっとした財産をかくし持ってたんだな。

 最上階のレストランに入る。
 見た目の若さにちょっと不審な顔はされるが気にしない。

「特上の、神戸牛のステーキを」

 この瞬間がたまらなく幸せだ。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

【作品DATA】

本日の創作メニューは「白」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “白”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(食卓五十音シリーズ)

[お客様]…回文屋さんの営業部長(小学生男子)
[お題]…神戸牛
[創作日]…2012年7月21日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台

※摩耶山リュックサックマーケットは雨天で公式中止となりました。
 が、自主メンバーによる闇リュックが開催されました♪



リッチなお題、神戸牛。
小学生からこのお題が出るところがなかなかw
若いけど若くない。そんな要素を盛り込んで、物語をひとつ。

回文屋さんのサイト
「偶然の図書館の別館」
http://biblioteca88.blog69.fc2.com
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。