書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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即興MENU#4-07「豆乳」
豆乳

 白い砂浜に、それは打ち寄せられていた。

 砂浜よりもっとずっと白くて、丸くて平べったい。
 手の平サイズの大きなおはじき、といった様相である。

 一人の女性が手にとる。
 つるんとしていて、プラスチックでできた何かという感じだが、何故かそれは人工的な色味とは思えなかった。

 彼女は好物の豆乳の色に似てるなと、しばらく観察したあと、何となくまた、海に戻したのだった。

           * * * * *

 ずっとずっと未来のある場所では、係の男が上司に怒られているところだった。
 そこは食品博物館。
 彼は展示物を一つなくしてしまったのだ。

 それは豆乳の塊だった。
 あの拾った女性のセンスはなかなかいいところをついていた。

 すっとずっと遠い未来、ある原因で食料品がその姿を次々と失っていくことになる。
 もちろん進んだ科学の力によって、人工的な栄養カプセルは用意されたが、人々はやはり、食べ物の色や形や質感をたのしみたかった。

 いつかまた食品を復活させられるようにと、ありとあらゆる最後の食べ物が、特殊な加工をされて食品博物館におさめられた。

 研究は日夜進んでいる。
 いつの日か、過去の海をただよう白い豆乳を、飲むことができるだろうか。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「白」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “白”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(食卓五十音シリーズ)

[お客様]…初来店の女性
[お題]…豆乳
[創作日]…2012年7月21日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台

※摩耶山リュックサックマーケットは雨天で公式中止となりました。
 が、自主メンバーによる闇リュックが開催されました♪


初摩耶山、初来店の女性に真っ白なお題をいただきました。
美味しいほんわかした話を書こうかなと、一瞬思ったのですが、なぜかこんな未来のお話になってしまいました。
こういう設定を考えるのはとても楽しいんですけどね♪
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