書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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即興MENU#4-26「てっちり」
てっちり

 黄色い鍋を棚からおろしてコンロに置く。
 今日の夕食は、湯どうふだから、黄色なのだ。

           * * * * *

 この家だけではない。
 他の多くの家でも、湯どうふの時は黄色い土鍋を使っていた。

 ちゃんこ鍋なら赤い鍋、カレー鍋ならオレンジ色、キムチ鍋なら緑色、水たき鍋なら青い鍋。
 そんなふうに、鍋の色を中身にあわせて使うのが、最近はやりだしたのだ。

 なぜそんな、しちめんどくさいことをするかといえば、そうすることで、安物の材料でも最高の味になるというからだ。

 最初は誰もが半信半疑。
 しかしそのうちに、「たしかに味がちがう」と言う者が出はじめた。

 そうなると何となく皆、ウワサにおどらされて、いつのまにやら鍋のフルカラーセットも出る始末。
 台所は鍋に占領されていた。

「さぁ、今日はてっちりを食べに行こう」

 ある一家が向かった店には普通の土鍋しかない。

 いい材料をいちばんおいしくするのは、素朴な道具だと、店主はよく知っているのだ。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
これは即興で書き上げた掌編作品。
お客様に「材料」=お題を決めていただき、
短時間で「調理」=作品化するという実験的試み。
実際は原稿用紙等に手書きしたものを、
テキスト化してweb上で公開しています。
明らかな誤字でない限り、書き上げてからの手直しはしないのが原則。
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【作品DATA】

本日の創作メニューは「黄色」
 お客さまの選んだ材料(=漢字)で、
 “黄色”ではじまる短いお話を
 お作りします。
 それは、
 今日限りの、小さな物語。
(食卓五十音シリーズ)

[お客様]…Tさん(男性)
[お題]…てっちり
[創作日]…2012年10月20日(土)
[創作場所]…摩耶山 掬星台
(摩耶山リュックサックマーケットにて)


どんな設定やねん!!
と自分にめっちゃ言ってやりたいこのお話(笑)
鍋を七色揃えるとかどんだけ邪魔って感じですよねw
でもこの無茶な設定が自由に書けてしまうのが即興ショートの面白さ。
最後が地味に教訓めいたのは設定のはじけっぷりを無意識にカバーしようとしたのかもしれませんがww
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