書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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Twi-Story45「快速電車」
昼間の快速がやたらと空いていて、なぜかこの車両には私一人という状態だ。何だか落ち着かないな、とふと隣の車両の方を見て息の飲んだ。一人の男が歩いてくる。いや、男なのは首から下だけだ。あの、顔は…そう、ペリカンだ。ペリカンに違いない。

しかしスーツ姿なのだ。手足はちゃんとヒトなのだ。一体何者なのだ。そいつはつり革を片っ端から握っていく。白いドーナツみたいなつり革が不規則にゆらゆら揺れる。しばらくして車両の真ん中あたりに来た時、おもむろに立ち止まった。

そして大きく頷くと、ポケットから鈍く光るハサミを取り出し、じゃきん、とつり革の革部分を切ってしまった。はぁ!?と声に出さずに私は叫ぶ。視線にようやく気づいたのか、ペリカン男はこちらをぎょろりと見て、そしてうっすらと笑みを浮かべた。

「いやぁ、爆弾をね、仕掛けたって脅迫状が届きましてねぇ〜。あぶないあぶない。あ、もう大丈夫っす」語尾がやたら軽薄で、信用ならない。そいつは大口を開けると、丸くて白いやつを、放り込んだ。口を、いやくちばしか、くちばしを閉じた瞬間、ぼすん!と破裂音がした。

くちばしの隙間から細い煙がたちのぼる。私はもうその時、座ったままで腰が抜けていたのだった。ペリカン男はじゃあ、とでもいう感じで手をあげるとそのまま次の車両へ移っていった。快速電車は間もなく次の駅に着こうとしていた。(完)

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