書く人・紺の短編作品と書き物雑談。猫好き、本好き、空想好き。写真と言葉と夢から紡ぎ出す、ささやかな物語。
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兄弟の即興話〜「一ノ話」
瓶詰め兄弟の本棚



「兄をさがしております。背中に大きな傷跡がある、二十歳過ぎの男を見かけたことはありませぬか」

 柳の下で、暗い着物を身につけた女に話しかけられた。
 ちょうちんの灯りでは、顔はよく見えなかった。

 三つほど先の柳の下に、浪人風の男が立っていた。
 目が合うとニヤリと笑ってこう言った。

「お前さん、俺の背中にでかい刀傷がないかどうか、気になってるんだろう?」

 そのとおりなのでうなずくと、するりと上半身裸になって、くるりと向こうをむく。
 背中にはちょうど漢字の「一」のような大きな傷がある。

 じゃあさっきの…と言いかけると傷はぱかりと口を開き、中にはおびただしい数のキバと、先が三つに分かれた舌先が見てとれた。

 その大口に、私はがぶりと………やられる前に取引を申し出た。

 最近、江戸の町から悪人はずいぶんと減った。

 あいつの腹も、日々満たされているようだ。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -(完)
このお話は、
中川紺 物語作品展「瓶詰め兄弟の本棚」の催事にて、
お客様より数字のお題をいただき即興創作したものです。

□執筆日:2014.2.23
□お題:1
□書き出し:兄


ホラーかギャクか分からないテイストに仕上がりました。
でも楳図かずおサン曰く、ホラーとギャグは紙一重だそうなので、
きっとコレでいいんです!(そういうことか?笑)
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